研究実績の概要 |
関西電力病院を受診し、ナルコレプシーと診断された患者の基礎情報のデータべースより、カタプレキシー(情動脱力発作)を伴う1型ナルコレシプシー患者(NT1)について発症から診断に至るまでの間に経た他の医療機関における対応や診断について調べた前年度の結果より、カタプレキシーという特異的な症状があってもその症状が診断確定を早めているわけではないことがわかった。とはいえ、カタプレキシー(情動脱力発作)を伴わない2型ナルコレシプシー患者(NT2)の診断確定までにかかる時間や睡眠専門施設に受診するまでの経緯と比較する必要があり、最終年度では、NT2の診断確定までの状況についても調べ、NT1との比較を行った。 52例のNT1と63例のNT2とを対象として調べた結果、発症から確定診断までにかかった時間は、NT1が14.9±11.2年、NT2が8.2±6.2年であり、有意差は認めなかった。発症年齢についてもNT1が18.1±10.0年、NT2が16.6±4.9年であり、いずれも思春期発症が多く、有意差がなかった。NT1のうち、カタプレキシーが先に出現した患者は11 out of 52 (21.2%)であったが、最終的に睡眠専門施設に紹介された際の主訴としては過度の日中の眠気(excessive daytime sleepiness, EDS)が取り上げられていた。また、NT2においては、63例中15例(23.8%)が産業医からの紹介であり、診断されていないNT2患者が社会人となったときに、その眠気について第一線で相談を受けるのが産業医であることが伺えた。
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