研究課題
本年度は、芳香族アミンo-toluidine (OTD) 曝露により尿中に検出されたOTDの代謝物である4-amino-m-cresol (4AMC)、2-amino-m-cresol (2AMC)およびaceto-o-toluidide (AOTD) について、F344雄ラットを用いた4週間の芳香族アミン短期曝露実験を行った結果、AOTDにおいてのみ細胞増殖を伴う過形成病変を認めた。そこで、同様の実験で過形成病変を認めた芳香族アミンOTDおよびacetoaceto-o-toluidide (AAOT)とAOTDにおいて共通して発現変化を認めた遺伝子を選出し、その推定される機序をIngenuity Pathway Analysisを用いて検討した。その結果、共通遺伝子として発現上昇する遺伝子47、発現低下する遺伝子33の合計80の遺伝子が選出され、それらの遺伝子が「Cancer」や「Cellular Growth and Proliferation」などのカテゴリーに属することが示され、膀胱発がんに関与する可能性が示された。また、80の遺伝子には、ヒト膀胱癌において進展や予後に関わり、細胞増殖や接着に関与するRRM2やFN1などの遺伝子や、TP53の不安定化に関わるNQO1が含まれていた。NQO1の異常発現は職業性膀胱がんで認めたTP53変異遺伝子の増加に関与している可能性があり、動物実験を介したOTD関連芳香族アミンによる膀胱発がん機序が、職業性膀胱発がん機序解明に役立つ可能性を示した。
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