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2020 年度 実施状況報告書

重金属毒性治療薬の開発を目指した糖尿病治療薬エパルレスタットの新規作用の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K10434
研究機関北海道科学大学

研究代表者

立浪 良介  北海道科学大学, 薬学部, 准教授 (90285552)

研究分担者 佐藤 恵亮  北海道科学大学, 薬学部, 講師 (60733946)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードエパルレスタット / カドミウム / Nrf2 / グルタチオン
研究実績の概要

申請者の所属している研究グループでは、糖尿病性末梢神経障害治療薬であるエパルレスタットが、転写因子Nrf2の活性化を介してグルタチオン量を増大させ、酸化ストレス誘導性の細胞毒性を抑制することを明らかにしている。本研究課題では、血管内皮細胞においてエパルレスタットがカドミウムの毒性発現を防御できるか、さらに、その作用機序を解明することを目的として研究課題に着手している。
カドミウムの毒性発現には、細胞内グルタチオンの枯渇と活性酸素の産生に起因する酸化ストレスの亢進が関与すると考えられており、最初にカドミウムによる酸化ストレスをエパルレスタットが抑制するかどうかを検討した。その結果、カドミウムによる細胞内グルタチオン量の減少および細胞障害の両者に対して、エパルレスタットの抑制効果が認められた。
次にカドミウムの細胞内取り込みに対するエパルレスタットの影響について検討した。細胞内のカドミウム蓄積量を原子吸光光度法により測定した結果、細胞内のカドミウム量がエパルレスタットにより減少することが明らかとなった。血管内皮細胞がカドミウムに曝露されると、亜鉛トランスポーターであるZIP8の発現誘導が起こり、ZIP8を介してカドミウムが細胞内へ蓄積されることが実証されていることから、ZIP8 mRNA発現量に対するエパルレスタットの影響について検討した。その結果、カドミウムによるZIP8の発現誘導をエパルレスタットが抑制することが示された。この抑制作用は、エパルレスタットの代わりにグルタチオンやその前駆体であるN-アセチルシステインを用いても確認された。これらの結果より、一連のエパルレスタットの作用は、Nrf2の活性化を介したグルタチオン量の増大による可能性が示唆される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

年次計画に沿って、研究計画は順調に進展している。

今後の研究の推進方策

次年度以降は、エパルレスタットによるカドミウム毒性の抑制作用について、エパルレスタットが細胞内から細胞外への排出を促進するかどうかの検討を行っていく。細胞内においてカドミウムはグルタチオンと複合体を形成することが知られている。この複合体形成はグルタチオン転移酵素により触媒され、次いで薬物トランスポーターMRP1により細胞外へ排出される。これらの酵素はいずれもNrf2制御タンパク質であり、エパルレスタットがこれらの発現量あるいは活性を増大すると推測される。そこで、グルタチオン転移酵素およびMRP1に対するエパルレスタットの影響について検討する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Epalrestat suppresses inflammatory response in LPS-stimulated RAW264.7 cells2021

    • 著者名/発表者名
      Sato Keisuke、Tatsunami Ryosuke、Wakame Koji
    • 雑誌名

      Allergologia et Immunopathologia

      巻: 49 ページ: 1~8

    • DOI

      10.15586/aei.v49i5.102

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Epalrestat suppresses cadmium-induced cytotoxicity through Nrf2 in endothelial cells2021

    • 著者名/発表者名
      Tatsunami Ryosuke、Sato Keisuke、Murao Yu、Yama Kaori、Yu Yang、Ohno Shun、Tampo Yoshiko
    • 雑誌名

      Experimental and Therapeutic Medicine

      巻: 21 ページ: 393

    • DOI

      10.3892/etm.2021.9824

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Protective Effect of Epalrestat against Oxidative Stress-induced Cytotoxicity2020

    • 著者名/発表者名
      Tatsunami Ryosuke、Murao Yu、Sato Keisuke
    • 雑誌名

      YAKUGAKU ZASSHI

      巻: 140 ページ: 1381~1388

    • DOI

      10.1248/yakushi.20-00167

    • 査読あり
  • [学会発表] RAW264.7細胞におけるLPS誘導炎症反応に対するエパルレスタットの影響2021

    • 著者名/発表者名
      立浪良介、菅原つばさ、佐藤恵亮
    • 学会等名
      日本薬学会第141年会
  • [学会発表] 抗がん剤による細胞障害に対するオートファジー阻害剤の影響2021

    • 著者名/発表者名
      佐藤恵亮、伊藤麻菜絵、遠藤翔也、木藤壱真、立浪良介
    • 学会等名
      日本薬学会第141年会
  • [学会発表] 血管内皮細胞におけるカドミウム誘導細胞傷害に対する GGT 阻害剤の影響2020

    • 著者名/発表者名
      熊野英里奈、佐藤恵亮、立浪良介
    • 学会等名
      フォーラム2020衛生薬学・環境トキシコロジー

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公開日: 2021-12-27  

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