• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

環境物質誘発性自己免疫疾患発症のトリガーイベントの探索

研究課題

研究課題/領域番号 20K10437
研究機関川崎医科大学

研究代表者

李 順姫  川崎医科大学, 医学部, 助教 (70414026)

研究分担者 大槻 剛巳  川崎医科大学, 医学部, 教授 (40160551) [辞退]
西村 泰光  川崎医科大学, 医学部, 准教授 (90360271)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード珪酸 / 自己免疫疾患 / 環境性粒子状物質
研究実績の概要

珪肺症患者では、呼吸器病変に加え、高頻度で自己免疫疾患を合併する。本研究の問いは珪肺症で「何が」自己免疫疾患発症の「きっかけ」となるのかを明らかにすることである。これまでに我々は健常人由来樹状細胞とT細胞の混合培養系に、珪酸と外来因子の受容体であるToll like receptor (TLR)のリガンドを同時に添加すると、リガンドごとにユニークな炎症性サイトカインの発現があることを見いだした。これは、珪酸存在下である種の感染イベントが「きっかけ」となり自己免疫異常へ傾向する可能性を示唆している。本研究では、珪酸曝露下で外来因子が①健常人T細胞の極性化(Thバランス)に及ぼす影響を解析し、②健常人T細胞の細胞内代謝に及ぼす影響を解析する。本研究のアウトプットは、珪肺症の自己免疫疾患発症の「きっかけ」を明らかにすることで、珪肺症のみならず広範な自己免疫疾患の適切な発症予防策の提案や極早期診断の実用化に貢献できると考えている。
本年度は、上記①健常人T細胞の極性化(Thバランス)に及ぼす影響について研究を進めた。まず、健常人より末梢血単核球を採取し、珪酸粒子存在かと非存在下に、さらにTLRリガンドを添加してThバランスの変化をフローサイトメーターを用いて、解析した。Th1, Th2, Th17そしてTregの構成の変化をそれぞれの特徴的なマーカーサイトカインや、転写因子で染色した。これまでのところ、珪酸曝露およびTLRリガンドの添加によるThバランスへの顕著な影響は見られていない。
今後、mRNAの発現やサイトカインの分泌について珪酸粒子およびTLRリガンドの影響を引き続き検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒト末梢血単核球培養系の実験と、フローサイトメーターによる測定解析方法を確立した。
健常人T細胞の極性化(Thバランス)に及ぼす影響について研究を進めた。まず、健常人より末梢血単核球を採取し、珪酸粒子存在かと非存在下に、さらにTLRリガンドを添加してThバランスの変化をフローサイトメーターを用いて、解析した。Th1, Th2, Th17そしてTregの構成の変化をそれぞれの特徴的なマーカーサイトカインや、転写因子で染色した。染色条件、特に、固定で、抗体との相性が悪く初期段階で試行錯誤があったが、良い実験条件を見出せた。これまでのところ、珪酸曝露およびTLRリガンドの添加によるThバランスへの顕著な影響は見られていない。
コントロールと処置群間で顕著な違いはいまだ見つけられていないものの、安定した実験・測定系を構築でしたのは大きな進展である。

今後の研究の推進方策

珪酸曝露群におけるTLRリガンド処置群におけるThバランスの検討では、コントロールとの間に顕著な差は見られていないが、今後mRNAやサイトカイン分泌を解析することで、珪酸曝露による免疫細胞への影響、さらにそこに外来因子がどのように関わってくるかを検討する。
本研究を行うことで、自己免疫疾患の発症の鍵となる遺伝子の変化など、「きっかけ」となるイベントを突き止められると考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 図書 (1件)

  • [図書] Allergy and Immunotoxicology in Occupational Health - The Next Step2020

    • 著者名/発表者名
      Lee S, Yamamoto S, Hayashi H, Matsuzaki H, Kumagai-Takei N, Hatayama T, Yu M, Ysoshitome K, Kusaka M, Nishimura Y, Otsuki T.
    • 総ページ数
      17
    • 出版者
      Springer Japan

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi