研究課題
これまでの実験研究や疫学研究から、胎児期の発育遅延が成人期の慢性疾患の危険因子になるDevelopmental Origins of Health Diseases(DOHaD)仮説が提唱されている。胎児期の発育遅延の原因の一つに受動喫煙があり、胎児期の母の受動喫煙曝露による生後の発育への影響の論文はあるものの、結果が一致していない。その背景の一つに母児の遺伝要因が考えられるものの、妊娠中の母の受動喫煙曝露がSGAを介してキャッチアップ成長や第二次性徴の早期化の影響に母児の遺伝要因(Single nucleotide polymorphisms; SNPs)が関与するかは分かっていない。そこで、妊婦の受動喫煙曝露がキャッチアップ成長や第二次性徴の早期化に及ぼす影響を母児のSNPsとの関連を含めて検討することを本研究の目的とした。出生前向きコホート「環境と子どもの健康に関する北海道スタディ」を使って、妊婦の受動喫煙曝露と児の12歳までの発育との関連について遺伝環境交互作用を含めて検討した。母児の遺伝要因については、異物代謝酵素(CYP1B1、CYP2E1等)及び受容体遺伝子(AHR)等を含めた96SNPsとした。妊娠中の受動喫煙者と能動喫煙者から生まれた児の小学3年から4年までの体重増加量に違いが認められたものの小さかった。その一方、遺伝型の違いによる小学生における学年間の身長増加量と体重増加量に違いは認められず、児の異物代謝酵素の遺伝型による妊娠後期の喫煙状況と小学生における学年間の身長増加量との関連の違いも認められなかった。よって、妊婦の受動喫煙曝露が小学生の体重増加量に影響を及ぼす機序に関して、児の異物代謝酵素遺伝子多型が関与する程度はわずかである可能性が示唆された。
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