研究実績の概要 |
多中心性キャッスルマン病と関節リウマチのトシリズマブ治療前後の血清中サイトカイン・ケモカイン測定結果のPLS2解析法による疾患特性分析を試みた。iMCDとRA患者のTCZ治療前後の血清中サイトカイン・ケモカインを、Bio-Plex ヒト27-plex lおよびInflammation Panelで測定し、治療前後の変化について比較検討した。その結果27plex(IL-b,IL-2,IL-6,IL-8,IL-15,IL-17,MIP-1a,FGF,VEGF),Inflammation panel(IL-20,IL-22,IL-26,IL-34,IFN-a2,IFN-b,CD163,LIGHT,MMP-1)等が健常人比べて上昇していた。iMCD患者は27plex(G-CSF), Inflammation panel (IL-19,pentraxin-3,CD163,Osteopontin,TNF-R2)等が健常人、RA患者に比べても高い傾向が認められた。一方RA患者では健常人、iMCDに比較し27plex (IL-7, IL-12p70,IL-13,GM-CSF,IFN-g,RANTES,IP-10,TNF-a), Inflammation panel (IL-27,IL-28A,IL-35)等のサイトカイン・ケモカインが高かった。 PLS2(Partial Least Square 2)解析法をでiMCD, RAと健常人を比較したところ、両疾患はかなり異なっている事、また、TCZ治療後、RA患者では一過的にIL-6等は上昇してもその後24週後には多くの患者で低下したがMCD患者では高いままであった。TCZ治療前後でPLS2解析をしてみると、サイトカイン中心の27plex panelではRAは治療後少し健常人に近づいたが、iMCDではむしろ離れた。一方、inflammation panelの炎症性サイトカイン・ケモカインの項目については両疾患とも、少し健常人に近づいた。iMCDとRA患者で炎症性サイトカイン・ケモカインの低下と臨床症状の改善との関連が示唆された。
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