研究課題
リウマチとキャッスルマン病は共にIL-6が病態に関与し、IL-6の作用を抑制する抗ヒトIL-6受容体の抗体薬(TCZ:トシリズマブ)による治療が有効である。また、2020年に急速に広がったCOVID-19もまた、TCZが有効であることが明らかにされた。しかしながらリウマチは自己免疫疾患、キャッスルマン病はリンパ球増殖性疾患、COVID-19は感染症でその病態は大きく異なっている。従って、各疾患のTCZの治療により影響を受けるサイトカイン・ケモカイン系、治療効果とサイトカイン・ケモカイン動態の変化を明らかにすることにより、各疾患の特性、臨床症状にIL-6がどのように関与し、そのブロックによりどのシグナル系が影響をうけ、治癒に繋がるのか、血中のサイトカイン・ケモカインを網羅的に測定し、健常人の状態と比較しつつ、それぞれの疾患の共通点、相違点を特に、血中のサイトカイン・ケモカインの動きに焦点をあてて、解析した。その結果、3種の疾患共通して高いサイトカイン、特にキャッスルマン病とCOVID-19、リウマチとCOVID-19で特に高い項目、COVID-19のみで特に高い項目が明らかにされた、COVID-19では特に幅広い項目が上昇しており、サイトカインストームが惹起されていることが明らかにされた。TCZ投与後のサイトカインの動きは、リウマチ、COVID-19では概ね低下したが、キャッスルマン病ではむしろ上昇する項目も多く、疾患によりその動態は異なっていた。しかしながらいずれの疾患でも患者のCRPは低下し、TCZ投与により、多くの患者で病状は改善していた。
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Scientific Reports
巻: 12 ページ: 1-13
10.1038/s41598-022-12252-y
PASKEN J
巻: 2021 ページ: 29-35