研究課題
基盤研究(C)
胃がん・大腸がんと診断された患者を対象としてベースラインから5年間の観察を行い、抑うつなどの心理状態と社会経済的要因の関連を検討した。がん診断時に抑うつ指標であるK6質問票で抑うつが疑われる割合(10点以上)は診断時と1年後でそれぞれ10.1%、7.4%であったが、潜在的な不安をもつ割合は20.1%から36.9%と増加した。社会的サポートが得られる人数が多いほど抑うつの指標が良好であった。女性はがん罹患後も変わらない社会的サポートを得ていたが、男性では罹患後に支援者数が減少する傾向があった。
がん疫学
胃がん・大腸がんは現在日本で最も罹患者数の多いがんであり、がんと診断された後に生存しているがんサバイバーの数も多い。がんサバイバーの抱える問題のうち、しばしば問題になるのが抑うつである。本研究結果は社会的サポートの充実の大切さを示すものであり、病院の相談支援体制やがんサバイバー同士のピアサポートなどの取り組みが重要であることを示唆する。また、社会的サポートが不十分な人を見逃さないような支援体制が必要であることも示した。