研究課題
1)修飾麻疹のウイルス学的及び免疫学的な解析本研究では関西国際空港での麻疹アウトブレイク解析(Kurata et al. J.Med.Virol. 2021)及び麻疹患者の臨床検体を用いた解析から、①修飾麻疹患者の排泄ウイルス量は典型麻疹患者よりも有意に低いこと、②血中麻疹IgG抗体価と末梢血単核球から検出される麻疹ウイルスゲノム量が負の相関を示すこと、③血清中のLDHの値が患者のウイルスゲノム量と相関し、修飾麻疹を診断する潜在的な生化学マーカーとして有用であることを明らかにした(Kurata et al. Microbiol.Immunol.2021)。2)疫学解析大阪府内の健常人を対象とした麻疹血清疫学調査のデータ解析(2003~2020年)を行った。その結果、麻疹ワクチン2回定期接種導入後の2007年以降、麻疹抗体保有率は90-95%以上と高い状態にあるものの、それ以前に比して府内健常人の麻疹抗体価は有意に低下しており、感染防御レベル(PA抗体価256)の抗体保有率から推定される麻疹の実行再生産数Reは麻疹排除後に最大4.8まで上昇することを明らかにした。(Kurata et al. Vaccine 2022)。修飾麻疹の増加に関連する疫学的背景を明らかにするために、大阪府の麻疹定点サーベイランス(1982~2007年)および全数サーベイランス(2008~2021年)データを用いた長期的な疫学解析を実施した。その結果、麻疹ワクチンの接種率上昇により麻疹患者数が減少し、日本国内の土着株(遺伝子型D5)は消失したが、患者数減少により免疫学的なブースター効果が失われたため集団における麻疹抗体価は低下し、これがSecondary vaccine failureに伴う修飾麻疹発生率上昇の原因となっている可能性が示された(Kurata et al. Vaccine 2024)。
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