| 研究課題/領域番号 |
20K10466
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| 研究機関 | 東北大学 |
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研究代表者 |
小暮 真奈 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (30789764)
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| 研究分担者 |
寳澤 篤 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (00432302)
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| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 高血圧 / ナトリウム・カリウム比 / ナトリウム・カリウム比感受性 / ゲノム / 保健指導 |
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| 研究実績の概要 |
高血圧の原因として、塩分の過剰摂取が知られている。またカリウム摂取による降圧効果も報告されているが、何れも測定に時間を要し、保健指導の現場での活用が困難であった。しかし、最近開発された尿中ナトリウムとカリウムの比（Na/K比）を評価する尿ナトカリ計により尿Na/K比が簡便かつ即時に測定可能となった。尿Na/K比測定を健診等の現場で活用することで、より分かりやすい高血圧指導が可能になると考えられる。しかし、これまでの知見によりNa/K比を下げても血圧が変化しない集団が存在することから、Na/K比の感受性について知見を深める必要もある。本研究では、東北メディカル・メガバンク計画の地域住民コホート調査のデータを用いてNa/K比の感受性遺伝子を同定することを目的として検討を行っている。
本年度はNa/K比・血圧・遺伝子に関連する先行研究を調べつつ、尿Na/K比と血圧のデータを用いてNa/K比感受性遺伝子を同定するためのデータセット作成を実施した。尿中ナトリウムおよびカリウム、血圧の情報の他に解析対象者の基本情報や尿Na/K比や血圧と関連があると考えられる生活習慣要因の情報を抽出した。また随時尿中のナトリウム・カリウム・クレアチニン等の情報から田中式を用いて推定24時間ナトリウム排泄量、推定24時間カリウム排泄量、推定24時間食塩排泄量等も算出した。今後はこのデータセットを更に加工し、ゲノムデータの解析方法について東北メディカル・メガバンク機構のGWASセンター（SNPアレイ解析、GWAS解析を実施するセンター）のサポートを得ながら具体的な解析を進めていく予定である。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゲノムデータと併せて解析するために、今年度はデータセットの作成を主に実施した。東北メディカル・メガバンク機構の健康調査から得られた膨大なデータの中から、対象者の基本情報（性別・年齢・調査参加日等）、生活習慣情報（運動習慣・飲酒状況・喫煙状況・生活習慣病の治療状況等）、生理機能検査情報（身長・体重・尿中クレアチニン・尿中ナトリウム・尿中カリウム・血圧・歩数等）を抽出し、データの結合作業を行った。また、このデータセットの情報を用いて、田中式による推定24時間ナトリウム排泄量、推定24時間カリウム排泄量、推定24時間食塩排泄量等を算出した。
ゲノムデータと併せて解析するためのデータセットはほぼ整い、データセットについての内容精査を実施後、東北メディカル・メガバンク機構のGWASセンターのサポートを得ながら具体的な解析を進めていく予定である。
これらの検討によりNa/K比の感受性遺伝子が同定できれば、Na/K比感受性に基づいた血圧低下方法の提案が可能となる。Na/K比が保健指導の現場で活用される世界において、Na/K比低減を勧めるべき者とそうでない者が分けられ、より効率的な公衆衛生活動が可能となる。
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| 今後の研究の推進方策 |
第一の検証として、大規模集団におけるスポット随時尿のNa/K比と随時血圧のデータを用いて、Na/K比の感受性遺伝子を同定する。尿Na/K比・随時血圧・遺伝子情報をもとに交互作用解析を行い、感受性のある（交互作用の認められた）SNPを特定する。交互作用解析から得られた感受性SNPをもとに、各SNPもしくは各SNPからsummary scoreを作成し、感受性あり群と感受性なし群を作成する。
尿Na/K比や家庭血圧の長期間の測定データは、その人の生活習慣をより強く反映している可能性があることが報告されているため、第二の検証として、第一の検証で抽出された感受性あり群と感受性なし群のSNP情報を用いて、10日間の尿Na/K比および家庭血圧の測定データがある約10,000人の集団で同様の検証を行い、再現性を確認する。
尿Na/K比、血圧、その他のアンケートデータの整理およびクリーニングは引き続き進め、ゲノムデータの解析方法は東北メディカル・メガバンク機構GWASセンターのサポートを得ながら進める予定である。本研究検証により、Na/K比感受性に基づいた血圧低下方法（減塩および野菜摂取増加の食事を促す指導、それ以外の生活習慣指導等）を提案することが可能となり、今後の高血圧予防、ひいては循環器疾患対策を実施する上で非常に重要な知見となると考えられる。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の影響により、現地での学会参加ができなかったこと、またゲノムデータについては次年度以降に詳細解析を実施するため、次年度使用額欄が0より大きくなった。
次年度はゲノムデータの解析および学会参加のための経費として使用する予定である。
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