研究課題/領域番号 |
20K10467
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
堀 愛 筑波大学, 医学医療系, 助教 (00530718)
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研究分担者 |
佐野 幸恵 筑波大学, システム情報系, 助教 (60580206)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 風疹 / 産業医学 / 職場 / 感染症対策 / 健康診断 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、勤労世代の風疹ワクチン接種割合の向上に寄与する要因を明らかにすることである。初年度の本年は、以下の研究を実施した。 (1)健康診断における風疹抗体検査の実施割合調査:首都圏を拠点に事業所健診を実施している健診機関で調査を実施した。健康診断の受診者で2019年度風疹第5期定期接種制度の対象者(成人男性約8万人)のうち、定期接種クーポン券を持参して風疹抗体検査を受けた人の割合は8%であった。研究成果を第93回日本産業衛生学会(オンライン開催)にて発表した。 (2)勤労世代のワクチン接種行動に関連する要因についてのオンライン質問票調査:風疹の第5期定期接種利用に関連する要因について、41~47歳の男性1680人を対象にオンライン調査を実施した。2019年度に風疹のクーポン券が届いたことを認識していた人は51%、抗体検査を受けた人は26%、予防接種を受けた人は6%であった。教育歴や婚姻状況にかかわらず、風疹抗体検査を受けた人では「政府が風疹の予防接種を勧めていることを知っている」、「抗体検査を受けた知り合いがいる」、「子供の頃に予防接種を受ける機会がなかったことを知っている」という特徴が明らかになった。研究成果を第79回日本公衆衛生学会で発表し、英文論文を出版した。BMC Public Health 21, 292 (2021) (3)ソーシャルネットワークサービス(SNS)における風疹定期接種制度に関する情報拡散:第5期定期接種制度が開始された2019年から2020年のデータを取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた調査を終え、学会発表(オンライン)と論文発表を行った。ただし新型コロナウイルス感染症流行の影響により、当初予定していた国内外の学会参加と、第93回日本産業衛生学会自由集会開催が中止となった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、風疹の第5期定期接種制度期間の2022年度末まで、引き続き3つの調査を継続する。(1)健康診断機関の調査は、定期的にデータを取得し、論文発表する。(2)2021年度オンライン調査では、人々の風疹予防接種に対する考え方や行動が、新型コロナウイルス流行の影響を受けた可能性があるため、新規調査内容を追加する。(3)ソーシャルネットワークサービス分析については、予防接種についての人々の情報発信が、新型コロナウイルスワクチンの影響を受けたため、過去の風疹流行時のデータを追加取得し、論文作成する。以上、研究成果を学術誌や学会、メディアを介して積極的に発信し、勤労世代の風疹ワクチン接種割合の向上に寄与することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス流行の影響で国内外の学会が中止となり、旅費・学会参加費・自由集会講演謝金の支出がなかったため、その分を繰り越した。オンライン調査は、前年度に前倒し実施したため、今年度の支出はなかった。 次年度使用計画は以下のとおり。(1)健康診断機関の調査について追加データを取得し、論文発表する。(2)2021年度オンライン調査を実施し、論文作成する。(3)ソーシャルネットワークサービス分析について論文作成する。(4)オンライン学会・第94回日本産業衛生学会自由集会(オンライン講演会)・新規ウェブサイト(職域の対策で日本から風疹をなくそうキャンペーン)を介して、研究成果を発信する。
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