研究課題/領域番号 |
20K10468
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
井手野 由季 群馬大学, 数理データ科学教育研究センター, 准教授 (60616324)
|
研究分担者 |
林 邦彦 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (80282408)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 女性ホルモン / 尿中エストロゲン濃度 / 尿中イソフラボン濃度 / 妥当性研究 |
研究実績の概要 |
本研究は日本ナースヘルス研究(JNHS)の一部であり,看護職女性を調査対象としている.また本研究では,疾患の発生について,医療機関に照会を行うことも予定していた.このため2021年度も,2020年度に続き新型コロナウィルス感染症の影響を鑑み,対象者および医療機関への負担に配慮して研究を進めた. 2021年度は,1)乳がんおよび婦人科がん,2)その他の悪性腫瘍の発症に関する自己報告および発症例確定の手続きの妥当性についての論文を発表した.先に発表した3)骨粗しょう症とともに,JNHSにおける疾患発症例確定の方法の妥当性が確認されたことは,本研究におけるエンドポイントとなる疾患発症例の妥当性が保証されることを意味する.学会発表ではあるが,「ホルモン補充療法の使用と乳がん発症の関連」についてもまとめた.今後,他の疾患も含め,尿中女性ホルモンおよびイソフラボン濃度との関連についても検討していく予定である.さらに,2022年度は,循環器疾患の発症に関する発症例確定の手続きの妥当性についての検討を行う予定である. また,「尿中イソフラボン濃度測定調査」参加時(採尿時)に,閉経前の両側卵巣の摘出を伴わない子宮摘出術のために閉経状態が不明であった周閉経期の参加者の閉経状態について,尿中エストロゲン(E1,E2,FSH)濃度からの確定を試みた.婦人科医の助言のもと,個々のケースについての推定を行ったが,BMIなどの影響も大きく,尿中エストロゲン濃度のみからの確定は困難であることが分かった.2022年度は,自然閉経例および片側卵巣摘出例を比較対象とし,個々の閉経前子宮摘出例の閉経状態の確定および閉経前子宮摘出術既往女性における閉経年齢の代表値の推定を行う予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主たるエンドポイントである乳がん,婦人科がん(子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん)およびその他の悪性腫瘍(肺がん・胃がん・大腸がん・肝がん・甲状腺がん),骨粗しょう症について,発生例の確定作業に関する妥当性を確認し,論文にまとめた.また,閉経前の両側卵巣の摘出を伴わない子宮摘出術既往女性における閉経状態推定のための調査を継続している.その他,看護職女性という対象者の特性上,無視することのできない夜勤の経験に関するデータをはじめ,食生活や身体活動などの生活習慣に関するデータのクリーニングも継続しており,サプリメントの摂取状況については論文にまとめた.また,学会発表ではあるが,大豆製品摂取習慣と更年期症状発現との関連についてもまとめた. 一方で,新型コロナウィルス感染症拡大が継続する中,対象者および医療機関への負担に配慮して研究を進めたため,「おおむね順調に進展している」とした.
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の主たる目的の一つである閉経後女性の尿中FSH濃度より,尿中FSH濃度のパターン分類の推定を継続する.その後,パターン分類と疾患との関連を調査する. 同時に,JNHSデータより,乳がん,子宮内膜症,子宮筋腫,婦人科がん等のエストロゲン依存性疾患,閉経後のメタボリックシンドローム,糖尿病,脳心血管疾患,骨粗鬆症,その他のJNHS追跡調査にて新規発生を調査している悪性腫瘍などの既往および新規発生の同定のための調査を継続する.また,これらの疾患を有する対象者における,尿中イソフラボン濃度および尿中女性ホルモン濃度や生活習慣との関連を検討すべく,データのクリーニングも継続する.
|