研究課題/領域番号 |
20K10471
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
鈴木 越治 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 研究准教授 (10627764)
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研究分担者 |
頼藤 貴志 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00452566)
篠崎 智大 東京理科大学, 工学部情報工学科, 講師 (60644482)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 因果推論 / 因果関係 / AI / 傾向スコア / 疫学 |
研究実績の概要 |
観察データに基づいて因果推論をするためには、調整すべき共変量を適切に選び、交絡バイアスを対処する必要がある。その際に用いられる傾向スコア法の理論的背景に着目し、変数選択法に関する知見を学術誌「Epidemiology」に発表した。特に、標的集団が曝露群や非曝露群などの部分集団である場合に、部分交換可能性と部分共変量バランスの関係性を明らかにした。この知見は、反事実モデルと十分原因モデルという重要な二種類の因果モデルの対応関係に基づいており、傾向スコアモデルを開発する基盤となる。 また、周辺構造モデルに関する特別論文を学術誌「Journal of Epidemiology」に発表した。本論文では、周辺構造モデルと逆確率重み付けは区別すべきこと、周辺構造モデルは推定対象とする因果母数への仮定を表す一方で、曝露確率モデルは観察分布に対する制約を与えること、周辺構造モデルと曝露確率モデルは用いる目的が異なっており、それぞれのモデルの誤特定によるバイアスの生じ方も異なることを詳説した。加えて、現実のデータ解析でモデルを特定する際に直面する課題は、周辺構造モデルと曝露確率モデルでは異なることや、g-公式は、因果効果の識別には逆確率重み付けと同じ条件を要するが、g-公式で周辺構造モデルが推定できるのは飽和した場合に限られることも論じた。 そのほか、因果ダイアグラムの矢印の意味に関する知見、および、媒介分析において用いられる仮定の理論的解釈に関して、53rd Annual Meeting of the Society for Epidemiologic Researchで発表した。また、関連指標の交換可能性と交絡バイアスの関係について、第31回日本疫学会学術総会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究分担者と共に、本研究の遂行およびデータ解析を適切に実施する上で必要となる疫学・統計学理論の構築を継続的に行っている。また、国内外の研究協力者とも定期的に会合をもった。国内外の学会で最新の関連研究等の情報収集および意見交換を行ったほか、研究成果の発表を行った。 令和3年度の国内外の学会でも、研究成果について発表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に沿って、研究分担者や研究協力者との連携のもと研究を遂行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に予定していた出張等ができなかったため残額が生じた。次年度の物品費、旅費に追加し、適正に使用する。
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