研究課題/領域番号 |
20K10473
|
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
高倉 実 琉球大学, 医学部, 教授 (70163186)
|
研究分担者 |
宮城 政也 琉球大学, 教育学部, 教授 (80316215)
喜屋武 享 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 助教 (40845343)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 学校保健 / 社会疫学 / 健康格差 / 社会関係 |
研究実績の概要 |
本研究は,青少年における健康格差是正メカニズムについての理解を深めるために,学校および地域レベルの集合的効力(collective efficacy: CE)が,青少年の社会経済的不利と健康指標との関連に対して,どのような介在的役割を果たすのかを解明することを目的として,沖縄県の高校生を対象に疫学調査を実施した. 2020年度に新型コロナウイルス感染症拡大のために実施できなかった研究計画を1年ずらして,2021年度に沖縄県全域の全日制公立高等学校を抽出単位として,確率比例抽出によって学校を無作為に抽出し,各学年から1学級を選出して,在籍する生徒全員を対象に無記名質問紙調査を実施した.調査抽出校は30校,標本サイズは3,244名であった.調査当日の欠席者222名を除く3,022名から調査用紙を回収した.2021年度中にデータ入力およびスクリーニングを完了し,データセットを作成した. 2022年度は,1年ずれた研究計画の2年目に当たり,主にデータ解析を実施した.結果として,高校生のいくつかの健康危険行動に社会経済格差がみられた.個人および集団レベルの学校CEは健康危険行動と予防的な関連を示したが,個人および集団レベルの地域CEは健康危険行動と有意な関連を示さなかった.さらに,集団レベルの学校CEと個人レベルの社会経済状態との間に交互作用がみられず,集団レベルの学校CEは社会経済的不利と健康指標との関連を調節せず,独立して関連を示したことを明らかにした(第33回日本疫学会で発表).加えて,健康危険行動の経年的変化を検討したところ,多くの行動に長期的な改善傾向がみられたが,COVID-19パンデミックが,身体活動やスクリーンタイム,女子のメンタルヘルスの悪化に寄与している可能性を示唆した(学術誌 School Health 印刷中).
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は,予定通り,データ解析を実施し,いくつかの結果を公表できた.
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに作成した沖縄県の高校生のデータセットを用いて,学校および地域レベルの集合的効力,社会経済的状態,健康指標の間の相互関連および集合的効力の介在的役割について,交絡要因を考慮しながら,前年度に解析しなかった他の健康関連行動や健康指標をアウトカムにして解析を行う.そして,その結果を公表していく予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大のため,2020年度に予定していた調査が実施できず,スケジュールを1年ずらして,2021年度および2022年度に実施したため,予定していた使用額が使用できなかった.翌年度分と合わせて,解析および結果の公表費用に充てる.
|