研究課題/領域番号 |
20K10474
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
川越 雅弘 埼玉県立大学, 大学院保健医療福祉学研究科, 教授 (00435778)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 糖尿病性腎症 / 重症化予防 / 受診勧奨 |
研究実績の概要 |
本年度は、協会けんぽ埼玉支部、及び埼玉県の糖尿病性腎症重症化予防事業に参加している市町村国保の健診・レセプトデータ分析を主に実施した。 【協会けんぽデータによる短期効果分析】2017年度の受診勧奨者のうち、2019年3月時点も資格を有していた9,606人について、受診移行率、及び2016~2018年の健診データ及び医療費の変化、透析移行率を受診群と非受診群間で比較した。その結果、1)対象者の性別は「男性」約8割、年齢は「40~59歳」約7割であった、2)新規受診率は22.2%であった、3) 2017年時点のHbA1c平均値は「受診群」6.77、「非受診群」6.10と、受診群の方が高かった、4)2016年時点でHbA1c≧8.0の2年後の改善率をみると、「受診群」33.3%、「非受診群」7.8%と、受診群で高かった、5) 2016年時点でeGFR区分がG3の2年後の改善率をみると、「受診群」28.8%、「非受診群」31.3%とほぼ同水準であった、6)2018年に人工透析に移行した者は「受診群」2人に対し、非受診群ではいなかったなどがわかった。 【国保データによる長期効果分析】2015年度の受診勧奨者で2020年3月時点も資格を有していた398人について、受診移行率、及び2014~2019年の健診データ、医療費、透析移行率に関する受診継続群、受診後非継続群、非受診後受診群、非受診群間で比較した。その結果、1)対象者の性別は男性が約7割、年齢は60代が約6割であった、2)新規受診率は41.0%(163人)であった、3) HbA1cの平均値の変化をみると,受診+継続受診群で減少,その他の3群では増加していた、4) eGFRの平均値の変化をみると,4群すべてで減少していた、5) 受診継続群の医療費は、受診勧奨された2015年に増加した後はほぼ同水準で推移していたなどがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、市町村国保及び協会けんぽの健診・レセプトデータの分析を主に実施したが、ほぼ予定通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度(2年目)は、以下の研究内容を推進する 1.受診群と非受診群の特性分析:受診勧奨によって受診に至った群と至らなかった群の患者特性の差異を整理する。 2.受診・非受診の理由に関する分析:ヒアリング等により、受診に至った理由、至らなかった理由について整理を行う。 3.人工透析移行群の過去の健診データの経時変化分析(後ろ向き研究):人工透析への移行者を対象に、健診データのレトロスペクティブ分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
先進地域の調査やインタビューを予定していたが、コロナの影響で調査が実施出来なかった。その分の交通費や謝金が本年度余ったが、これら調査は、本年度に振り替えて行う予定である。
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