研究課題
本研究では、環境過敏症の発症・症状発現に関係する環境因子、日常生活における環境バリアを明らかにすることを目的とし、これらを把握するための質問票を開発した。そしてこの質問票を用いて、環境因子により症状が出ることのある人を対象としてアンケート調査を行った。2022年6月に有訴者が所属する2団体に質問票を1550部送付し、会員に配布してもらい、437部の返送があった(回収率28.2%)。今年度は、前年度の未解析の回答も加え、同意が有り、症状が有る417名を対象とし、化学物質、電磁波、その他のものへの不耐の発症因子(きっかけ)について傾向を把握した。対象者は男性47名(11.3%)、女性368名(88.7%)、平均年齢は57歳(標準偏差11歳)であった。96.4%の人は化学物質によって症状が出ると回答し、化学物質と電磁波の両方によって症状が出る人は62.6%、化学物質と電磁波とその他のものによって症状が出る人は34.5%、電磁波のみの人は1.2%であった。その他のものとしては、低周波音(6.7%)の割合が高かった。化学物質不耐の発症因子としては、「自宅の新築・リフォーム」(28.1%)、「殺虫剤、農薬への曝露」(23.4%)、「柔軟仕上げ剤の香り」(22.9%)が多く、発症因子の発生の年代別の割合は、「自宅の新築・リフォーム」は2000年代以前に大きく、「柔軟仕上げ剤の香り」は2010年代に大きい傾向が見られた。一方、電磁不耐の発症因子としては、「近隣からの電磁波曝露」(24.8%)が多かったが、その割合は2020年以降に低くなり、発症因子の多様化が示唆された。
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臨床環境医学
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