研究課題
今回の研究は、長崎県壱岐市の協力のもと、本研究の分担研究者である 大学医学部公衆衛生学教室と共同で行っている同市の特定健診のデータを用いた疫学研究である(ISSA-CKD project)。特に本研究では、同意が得られた患者に関しては血清サンプルを保存し、通常の健診では測定することのできない最終糖化産物(Advanced Glycation Endproducts)を測定する。その目的は、CKD患者における高血糖や糖尿病の影響以外でのAGEsの構成の 化を明らかにすること、そしてそれらの物質(過去の検討ではMG-H1はその主要候補になると考えているが)が、実際に腎機能の糖化や尿蛋白増加といったCKDの予後に関与する因子に関与するかどうかを明らかにすることである。またさらには、以上の結果から、発展的に新たな治療ターゲットや予後予測のバイオマーカーとして利用されるに至ることを期待している。当初の計画としては、同年度に長崎県壱岐市の特定健診を受診した受検者のうち、過去に受診歴があり、ISSA-CKD研究に登録されている受検者の中から、CKDを有する200例(糖尿病あり100例、糖尿病なし100例)、CKDなし200例(糖尿病あり100例、糖尿病なし100例)を目標に血清AGEsを測定することとしていた。しかし、COVID-19のため健診受診者が伸びず、血液サンプルの収集に支障を生じた。そのため、FESTA研究(福岡動脈硬化疫学研究)として別途進行中の疫学研究において集められた約800検体の血清を使用し、CKDとAGEsの関連を検討することとした。現在、インドキシル硫酸、ペントシジン、カルボキシメチルリジンを測定しているところである。
4: 遅れている
昨今、新型コロナウイルス患者が大きく減少していることに加え、壱岐市への渡航が制限されていたことにより同意の取得が大きく滞っており、血液サンプルの獲得が難航した。前述のように、他の疫学研究のサンプルを使用して同様の検討ができるように方針転換しており、1年研究期間の延長を申請した。
前述のように、現在、ペントシジン、インドキシル硫酸、カルボキシメチルリジンを測定しており、それぞれの検査結果と疫学研究におけるサンプルとを紐づける作業を行っている。それが終了した後、統計学的な研究を行い、研究成果を出すことに尽力する。
AGEの測定の終了が年度内に終了しなかったため、次年度使用が生じることとなった。2023年、インドキシル硫酸、ペントシジン、カルボキシメチルリジンの測定に充てる予定である。
すべて 2023
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Hypertens Res.
巻: 46 ページ: 1122-1131
10.1038/s41440-023-01175-4