研究課題
( 研究背景と目的)加齢黄斑変性患者は重度の視力障害を来たす疾患であり、近年罹患数の増加が問題となっている。さらに、治療に高額な医療費を要するため、医療経済的にも問題である。欧米では、抗酸化ビタミン、ミネラル、オメガ3不飽和脂肪酸摂取と加齢黄斑変性の発症との関連が報告され、予防医療に生かされているが、わが国での報告はない。加齢黄斑変性の病態はアジア人と欧米人で大きく異なることが明らかとなっており、わが国固有の調査が必要である。本研究では、脂質異常症や循環器疾患に対してすでに有効性が知られる多価不飽和脂肪酸の加齢黄斑変性への影響を、大規模疫学コホート研究による眼科検診データを用いて明らかにする。本研究により、将来的には、加齢黄斑変性発症予防としての食事指導だけでなく、予防治療薬の開発への応用が期待できる。( 研究計画と方法)一般住民検診・眼科検診のデータを用い、 眼底写真をWisconsin Age Related Maculopathy Grading Systemと光干渉断層計を併用して判定した加齢黄斑変性の重症度と食品摂取頻度調査票より抽出した脂肪酸摂取量との関連を明らかにする。(令和2年度の計画と実績)検診で撮影した写真をWisconsin Age Related Maculopathy Grading Systemと光干渉断層計を併用して加齢黄斑変性の重症度分類を行った。両眼判定するため、約2万枚の眼底写真の読影が必要であり、1年半程度の期間を予定していたが、ほぼ予定通りの読影を行えた。
2: おおむね順調に進展している
検診で撮影した写真をWisconsin Age Related Maculopathy Grading Systemと光干渉断層計を併用して加齢黄斑変性の重症度分類を行った。両眼判定するため、約2万枚の眼底写真の読影が必要であり、1年半程度の期間を予定していた。コロナ禍で、一時研究室に立ち入れなくなるなど、研究に支障をきたしたが、後半に作業は予定以上に進んだため、ほぼ予定通りの読影を行えた。
現在、研究計画通り進捗している。本年度はさらに眼底写真の読影を進め、眼底読影結果と、その他の眼科データを突合し、さらに、食品頻度摂取票から抽出した栄養素のデータとも突合、データベースを作成する予定である。
コロナ禍のため、一時研究室が封鎖となり、研究が中断した。その際、スタート時に購入予定であった、コンピューター、モニターの準備の機会を逸した。旧来のものを使用していたが、今後発注予定である。また、学会がweb開催となったため、学会参加のための旅費が残った。今年度、通常開催であれば、学会参加時の旅費や参加費に当てたいと考えている。
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Ophthalmology Retina
巻: - ページ: -
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