研究課題
( 研究背景と目的)加齢黄斑変性患者は重度の視力障害を来たす疾患であり、近年罹患数の増加が問題となっている。さらに、治療に高額な医療費を要するため、医療経済的にも問題である。欧米では、抗酸化ビタミン、ミネラル、オメガ3不飽和脂肪酸摂取と加齢黄斑変性の発症との関連が報告され、予防医療に生かされているが、わが国での報告はない。加齢黄斑変性の病態はアジア人と欧米人で大きく異なることが明らかとなっており、わが国固有の調査が必要である。本研究では、脂質異常症や循環器疾患に対してすでに有効性が知られる多価不飽和脂肪酸の加齢黄斑変性への影響を、大規模疫学コホート研究による眼科検診データを用いて明らかにする。本研究により、将来的には、加齢黄斑変性発症予防としての食事指導だけでなく、予防治療薬の開発への応用が期待できる。( 研究計画と方法)一般住民検診・眼科検診のデータを用い、 眼底写真をWisconsin Age Related Maculopathy Grading Systemと光干渉断層計を併用して判定した加齢黄斑変性の重症度と食品摂取頻度調査票より抽出した脂肪酸摂取量との関連を明らかにする。(令和3年度の計画と実績)昨年に引き続き、検診で撮影した写真の重症度分類を行い、ほぼ予定通り読影を終えた。個人の背景情報や眼科データの入力を行い、データベースを作成した。さらに、食品頻度摂取票から抽出した栄養素のデータとも突合し、解析を開始した。
2: おおむね順調に進展している
検診で撮影した写真をWisconsin Age Related Maculopathy Grading Systemと光干渉断層計を併用して加齢黄斑変性の重症度分類を行い、ほぼ予定通り読影を行えた。また、個人の背景情報や眼科データの入力を行い、データベースを作成した。さらに、食品頻度摂取票から抽出した栄養素のデータとも突合し、解析を開始した。
現在、研究計画通り進捗している。本年度は作成したデータベースを解析し、結果の報告、論文化を行い、結果を発信する予定である。
コロナ禍のため、スタート時に購入予定であったコンピューター、モニターの準備の機会を逸したが、今後発注予定である。また、学会がweb開催となったため、学会参加のための旅費が残った。現在、通常開催になってきており、学会参加時の旅費や参加費、また、本研究から明らかになりつつある加齢黄斑変性と栄養との関連について、さらなる解析推進のために用いたい。
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Journal of Clinical Medicine
巻: 6 ページ: 1617
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