研究実績の概要 |
急性虚血性脳卒中(AIS)は発症後速やかに治療を行わないと後遺症や死に至る重篤な疾患である。過疎地域など医療へのアクセスが限られた地域に居住する患者は迅速な医療を受ける上で障壁に直面する可能性がある。しかし、急性期病院へのアクセスの良さとAIS患者の退院時転帰との関連については異なる見解があるため検討を行った。 2015年4月から2020年3月までにAISにより入院した525,689例のJROAD-DPCデータベースのデータを分析した。患者の居住地は、人口または人口密度により大都市、地方都市、過疎地域に分類した。急性期病院へのアクセシビリティ指標として、全身麻酔手術件数、ベッド数、自宅から病院までの距離、人口密度に着目した急性期医療密度指数(ACDI)と、自宅-病院間距離(郵便番号を用いて2点間の座標距離を算出)を利用した。これら指標と院内死亡率との関連を一般化線形混合モデルを用いて評価した結果、大都市と地方都市に限定されたがACDIと院内死亡率との関連が示された。また、自宅-病院間距離の有意な影響は認められなかった。 今後、発症から病院到着までの病院前過程のさらなる調査が必要である。
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