研究課題/領域番号 |
20K10495
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
土屋 菜歩 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 非常勤講師 (80396580)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | コホート研究 / 疾病予測 / 好中球/リンパ球比 / 炎症マーカー |
研究実績の概要 |
炎症が悪性腫瘍、炎症性疾患の発症および予後に影響することが知られており、そのマーカーとして白血球分画を用いた好中球/リンパ球比や単球/リンパ球比が注目されている。好中球/リンパ球比は人種により値が異なる可能性が指摘されており、いくつかの規定因子も報告されているが、アジアにおいて大規模調査、特に健常人対象の調査で好中球/リンパ球比およびその規定因子や疾患発症との関連を検討したものはない。 本研究の目的は、日本人における好中球/リンパ球比とその規定因子を明らかにし、疾患発症および死亡との関連を検討することである。本研究では2013年から実施している『東北メディカル・メガバンク事業:地域住民コホート調査』の参加者約50,000人のデータを使用して解析を行う。 昨年度は研究代表者が採択後に非常勤講師となったことから、東北メディカル・メガバンク計画の規定に準ずるデータの閲覧・抽出に関する申請手続きを行い、データの抽出と解析用データセットの作成および基礎解析を行った。本年度は、年齢や性別に加え、喫煙習慣や先行研究で報告されている複数の疾患の既往歴と好中球/リンパ球比の関連について統計学的解析を行った。胃癌、大腸癌、結核、虚血性心疾患との関連について、単変量および多変量解析の手法を用いて検討した。年齢、性別、喫煙習慣、BMIを調整しても胃癌及び虚血性心疾患と好中球/リンパ球比に有意な相関が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
疾患との関連を単変量および多変量解析で検討できたことは大きな成果であった。研究者がコロナ対応により研究実施に十分な時間を割くことが出来ず、当初予定していた死亡や新たな疾患発症との関連は年度中に追加データの入手および解析には至らず、研究期間を延長せざるをえなかった。
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今後の研究の推進方策 |
現在解析しているコホートのベースラインデータに追跡で得られた死亡データと新たな疾患発症のデータを連結し、新たな疾病発症および死亡と好中球/リンパ球比の関連について解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の流行により学会の現地参加や情報収集のための出張が中止となり、予定していた使用額を使うことが無かった。また、解析が当初の予定よりも遅れたため、論文投稿の準備などに予定していた予算も使用に至らなかった。今年度に使用しなかった予算は、次年度関連学会への出張や論文投稿準備に使用する予定である。
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