研究実績の概要 |
2002年から「生活習慣病とそれに続く心血管事故の予防を目的としたコホート研究」を開始し、2007年、2013年、2018年に新規対象者追加しながら生活習慣アンケートと健診データを蓄積してきた。本研究の対象者は2018年までの糖尿病発症の有無と年齢が各回のアンケートによって把握できている。2023年度はこのデータを使って、出生時体重と糖尿病発症との関連をコックス比例ハザードモデルと使って分析した。対象は男性5864名、女性2293名であった。出生時体重別の糖尿病発症率は、2500g未満群では観察期間33813人年中95名、2500g以上3000g未満群では197384人年中494名、3000g以上4000g未満群では182315人年中338名、4000g以上群では5752人年中12名であった。3000g以上4000g未満群を基準としたハザード比(95%信頼区間)は、2500g未満群は1.36(1.09, 1.71)、2500g以上3000g未満群は1.15(1.00, 1.32)、4000g以上群は1.40(0.79, 2.48)であった。性と父親の糖尿病歴と母親の糖尿病歴で調整すると、3000g以上4000g未満群を基準としたハザード比(95%信頼区間)は、2500g未満群は1.30(1.03, 1.63)、2500g以上3000g未満群は1.16(1.01, 1.33)、4000g以上群は1.21(0.68, 1.39)であった。最終モデルにおいて、性別との関連は、男性を基準とした女性のハザード比は0.60(0.52, 0.74)であった。また、父親の家族歴に関しては、無しを基準とした有りのハザード比は1.72(1.45, 2.04)、母親の家族歴に関しては、無しを基準とした有りのハザード比は2.42(2.00, 2.92)であった。 以上の結果より、自己申告ながら出生時から糖尿病発症までを追跡したと想定したデータセットにより、性別、糖尿病の家族歴にかかわらず出生時体重が低いことは糖尿病の発症するリスクが高いことが示唆された。
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