研究実績の概要 |
【方法】 研究対象自治体国保加入者を性、年齢階級で層別して無作為抽出した600人を対象に、連続する4年間について、特定健診受診状況と国保からの医療給付状況を収集した。2年目から4年11か月目までの35月を解析対象期間とし、死亡と後期高齢者医療保険加入を観察打ち切りイベントとした。解析対象期間の月ごとに、曝露有無の判定とアウトカムの計算を行った。曝露有無判定は以下の定義によった:前回の特定健診受診年月からその年月を含む12か月間を前回の特定健診受診の影響がある期間、前回の特定健診の受診年月から13か月目以後、次の特定健診受診年月の1つ前の月までの期間を前回の特定健診受診の影響がない期間。アウトカムは、その月に国保から給付された、入院と外来を区別せずにすべての点数表を通して合計した診療点数であった。 【結果】 標本全員で検討すると、月あたり保険診療点数は、健診受診の影響がある期間では3,033点、影響がない期間では3,402点で、前者は後者の0.89倍であった。標本を、解析対象期間のうち健診受診の影響がある月の割合が100%(健診を毎年受診した90人が該当)、1-99%(健診受診が不規則だった258人が該当)、0%(健診を一度も受診しなかった252人が該当)の3群に層別して、月あたり保険診療点数を比較した。「100%」群では2,374点、「0%」群では3,301点で、前者は後者の0.72倍であった。「1-99%」群においては、健診受診の影響がある期間では3,427点、影響がない期間では3,624点で、前者は後者の0.95倍であった。健診を毎年受診した「100%」群とまったく受診しなかった「0%」群との比較だけでなく、健診受診が不規則な「1-99%」群における健診受診の影響がある期間とない期間との比較によっても、特定健診受診が少ない医療給付に関連していることを明らかにした。
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