研究課題
医療給付を受けた傷病を特定健診標的疾患か否かを決定する作業を行った(1))。また、後期高齢者医療保険へ移行した後の健診受診状況と医療給付状況を収集した(2))。1)初年度に作成したデータセット(研究対象自治体Aの国保加入者から無作為抽出した600人について、連続する4年間に渡り、各月が、前回の特定健診受診(有効期間を12ヶ月と仮定)の効果がある期間中かその期間外であるかを定義したもの)に、対象者が各月に医療給付を受けた主傷病情報(最も医療費が多かった傷病)を付与し、各月の主病名が特定健診が標的とする疾患(高血圧、脂質異常症、糖尿病、肝機能障害、虚血性心疾患)であった月と、それ以外の疾患であった月とに分類した。主病名の情報が得られたのは541名で、そのうち、特定健診標的疾患が主病名であった月があったのは174名であった。2)別の研究対象自治体Bを選定し、すべての国保加入者一人一人について、後期高齢者医療保険移行後の健診(特定健診に準じて実施されている健診)受診状況と医療給付状況を収集した。今年度は、後期高齢者医療保険加入期間中の状況を暫定解析した。追跡開始時点の後期高齢者3,939名のうち、追跡開始に先立つ3ヶ月間に医療機関受診がなかった908名を、追跡開始初年度に健診を受診した52名(平均年齢77.8歳、男性56%)と受診しなかった856名(平均年齢74.9歳、男性45%)とに分け、追跡初年度に先立つ3ヶ月を含む39ヶ月間について、月別医療費の趨勢を比較した。健診受診あり群では期間中の月別医療費は横ばいまたは緩やかな増加であったが、健診受診なし群では期間中の月別医療費の増加の傾きが大きかった。外来医療費と入院医療費とに分けると、両群間の趨勢の差は外来医療費において認められた。
2: おおむね順調に進展している
1)特定健診受診の影響がある期間(前回の特定健診受診年月からその年月を含む12ヶ月間)を、特定健診が標的とする疾患に対する医療給付が行われた期間とそれ以外の疾患に対する医療給付が行われた期間とに分類する方法を提案できた。2)国保加入者が後期高齢者医療保険へ移行した期間を含めて、健診の受診状況と医療給付状況を追跡できるデータセットを構築できた。このデータセットの暫定解析から、医療給付を受けていない後期高齢者において、特定健診に準じて実施されている健診の受診が、その後の低廉な外来医療費に関連する可能性を示すことができた。
1)主病名の情報が得られた541名の観察対象月を、a)特定健診受診の影響があり、かつ特定健診が標的とする疾患が主病名であった月、b)特定健診受診の影響があり、かつ特定健診が標的とする疾患以外が主病名であった月、c)特定健診受診の影響がなく、かつ特定健診が標的とする疾患が主病名であった月、d)特定健診受診の影響がなく、かつ特定健診が標的とする疾患以外が主病名であった月に分類する。そして、a)とc)との比較に基づいて、特定健診受診の影響があった期間とその影響がなかった期間との間で、特定健診標的疾患に対する医療給付の差を、統計学的有意性も考慮して検討する。2)観察対象の後期高齢者が市町村国保に加入していた期間も含めて、健診受診の医療費低廉効果を検証する。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件)
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