研究課題/領域番号 |
20K10506
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
嶽崎 俊郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50227013)
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研究分担者 |
指宿 りえ 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (90747015)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | HTLV-I / 全死亡リスク / コーホート研究 / 炎症性遺伝子多型 / TNF-α / IL-10 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、HTLV-Iキャリアにおける高い全死亡リスクに対する防御要因をコーホート研究において明らかにすることである。今年度は、昨年度、新学術領域研究「コホート・生体試料支援プラットフォーム」の支援により提供を受けた疫学情報と遺伝子多型情報に加え、提供を受けたDNA試料を用いて遺伝子多型の解析を行い、HTLV-Iと全死亡リスクとの関連、および環境要因と遺伝子多型との関連に関して解析を進めた。 今年度はネスティッド症例・対照研究のデザインを設定し、症例としての死亡者322名と、性、年齢(±3歳)、地域をマッチさせ、死亡者と同じ追跡期間に追跡中であるものの中からランダムに1:4の割合で抽出したものを対照とした。解析は条件付きロジスティックモデルを用いて、遺伝子多型の群ことに解析し、HTLV-I感染との相互作用についても解析を行った。 HTLV-I陽性者における全死亡のオッズ比は1.08 (0.68-1.73)であった。これまでに解析を行った炎症性遺伝子多型TNF-α 1031T/C、IL-10 819T/C、NF-κB1 94ATTG ins/delでは、群ごとの解析、相互作用いずれも統計学的に有意な結果は得られなかった。また、新たにZFPM2 rs6993770、ABO rs550057の解析を行った。それぞれの遺伝子多型のみでは優位な全死亡オッズ比の上昇や低下は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、新学術領域研究「コホート・生体試料支援プラットフォーム」の支援により疫学情報と遺伝子多型情報の提供を受け、さらにDNA試料の提供も受け、新たな遺伝子多型の解析も加えることができた。 一方で、当初予定していたHLA遺伝子多型の解析は、解析に必要となるDNA量が十分でなかったため、解析対象とする遺伝子多型を炎症を総合的に反映することが報告されていたZFPM2 rs6993770とABO rs550057に変更し、予定した対象者の解析を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は追跡期間が14年で全死亡者が322名のデータセットで解析を行ったが、相互作用の解析にまだ、症例数が十分でない部分があった。令和4年度は前期にJ-MICC研究の追跡調査が予定されており、死亡者が100名以上の追加が見込める。解析に必要なDNAはすでに抽出してあるので、対象者が確定され次第、DNAの提供を受け、炎症性サイトカインに関する追加の遺伝子多型の解析を行い、HTLV-Iと死亡リスクとの関連に関して、環境要因と遺伝子多型との相互作用を中心に解析を進め、危険要因と防御要因を明らかにする。明らかになった結果に関しては、学会発表と論文作成を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度は追跡期間が14年で全死亡者が322名のデータセットで解析を行ったが、相互作用の解析にまだ、症例数が十分でない部分があった。令和4年度は前期にJ-MICC研究の追跡調査が予定されており、死亡者が100名以上の追加が見込める。解析に必要なDNAはすでに抽出してあるので、対象者が確定され次第、DNAの提供を受け、炎症性サイトカインに関する追加の遺伝子多型の解析を計画したため。
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