研究課題
福島県における東日本大震災前後のメタボリックシンドローム有病率の長期推移を,全国データベースを用いて,期間,地域,性別,年齢層別に検討した。2008~2017年に特定健診を受診した40~74歳の福島県民の累計3,862,566人が本研究に参加した。福島県を山間部(会津地域)、中心部(中通り)、沿岸部(浜通り)、避難地域に分け、震災前(2008-2010)と震災後(2011-2017)との有病率の比較、および会津地域と避難地域の比較について、ポアソン回帰モデルを用いて算出した。観察期間を通じて、特に避難地域で有病率が有意に増加した。年齢と性別で調整した有病率は、2010年の15.8%から2012年には19.7%、2017年には20.7%に増加した。震災前後の比較では、有病率比(PR)および95%信頼区間(CI)は、2012年に1.21(1.18-1.25)、2017年に1.27(1.23-1.30)であった。有病率は、2011年以降、会津地域より避難地域で有意に高かった。PR(95%CI)は1.00(0.97-1.03)、1.09(1.06-1.13)から1.12(1.09-1.15)、被災後は1.12(1.09-1.15)であった。メタボリックシンドロームの有病率は、震災後、特に避難地域で急速に増加し、福島では少なくとも6-7年後も高いままであった可能性がある。
2: おおむね順調に進展している
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点より、介入研究については大規模に行うことが難しかったが、認知症や循環器疾患、及びそのリスク因子であるメタボリックシンドロームや高血圧、脂質異常、等について震災前後の動向を検討し、学会発表を多数実施することができた。さらに、今年は関連論文を多く出版する予定である。今後も引き続き検討する予定である。
本年は大規模データを用いた各リスク因子の検討に加え、介入研究を実施し、認知症や循環器疾患リスク因子について検討する。大規模データを用いた検討については、これまで実施していた認知症や循環器疾患のリスク因子のトレンドの検討に加え、認知症のトレンドについてもそのトレンド、様々なリスク要因との関連について検討する。
本年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点より、大規模な介入研究を実施することが叶わなかった。次年度には、予定されていた介入研究を実施すること、または認知症や循環器疾患リスク評価の機器レンタル等を予定しており、それらに使用予定である。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (8件)
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