研究課題
頭頸部がんは、喫煙・飲酒を主とする環境因子が主な発症因子とされているが、予後への影響は不明確である。またアルコール・アルデヒド脱水素酵素遺伝子多型をはじめとした遺伝的素因が環境因子の影響を修飾する可能性が示唆されている。本研究の目的は、遺伝的影響を考慮した生活習慣の頭頸部がん予後への影響を部位別に検討し、新規予後予測モデルを構築することである。具体的な目的は、1) 中咽頭がん症例で血清検体のある症例について、enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA)法にてHPV抗体価を測定する。そして再発・予後への影響について検討を行う、2) 鼻副鼻腔がん症例においてHPV感染の有無について、ホルマリン固定パラフィン包埋組織標本を用いたp16の免疫組織学的検討で評価する。血清検体のある症例についてenzyme-linked immunosorbent assay (ELISA)法にてHPV抗体価を測定する。それぞれの予後への影響について、そしてそれらの相関関係について検討を行う、3) 大規模唾液腺がん患者コホートを用いて、組織型別での喫煙・飲酒状況の予後への影響について検討を行う、ことであった。令和4年度は唾液腺がんに関する検討を先行して行うこととし、まず日本人集団における組織型別での特異的遺伝子異常について実態調査を行った。国立がん研究センターがんゲノム情報管理センターに集積された、がん遺伝子パネル検査を行った唾液腺がん441症例の組織型別での遺伝子異常についてデータを収集し、現在データを解析中である。
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