研究課題/領域番号 |
20K10509
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
須藤 洋一 岩手医科大学, いわて東北メディカル・メガバンク機構, 特命講師 (50810561)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 免疫 / がん / 因果推論 / 関連解析 / ゲノムコホート |
研究実績の概要 |
2020年度に発見した、MICAなどのDS(danger signal)とがんやその他疾患との関係性について、共同研究先の国立がん研究センター多目的コホート研究の独立したデータを利用してメンデル無作為化解析(MR)を行った。その解析結果と、2020年度までに得られた結果を総合すると、少なくとも今回調べたDSのうちの1つであるMICA遺伝子の発現量は、バセドウ病等の自己免疫疾患と有意な関連があり、MICA発現量の低下が原因となってバセドウ病リスクが上昇する可能性が示唆された。これらの結果は専門誌に採択されオープンアクセス論文として公開された(Sutoh, Y. et al. Thyroid, 2022)。あわせて岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構ウェブサイト等で一般向け解説文書を公開した。 一方で、今回解析した住民データでは、多くのがんの既往が1%未満であり、多いものでも乳がんの1.6%、大腸がんの1.4%ほどであった。このため、これ以外の大半のがんでは、検出力が不足していた可能性がある。一般に、頻度が少ない疾患における因果効果を確実に検出するためには、検体数を増加させ、検出力を増やす必要がある。アウトカムデータはすでに4万人超のデータであるため、暴露要因側について、当初の計画通り、新たな遺伝子発現データを取得し、検体数を増やす準備を進めている。前向きコホート研究である東北メディカル・メガバンク計画の岩手県参加者から提供された末梢血単核球のうち、遺伝子発現データが未取得の検体を対象として、予定数の検体を選定した。一部検体については、トランスクリプトーム情報の取得に向けてすでに検体処理を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では新規に習得したデータで解析を進める予定であったが、過去の研究で取得済みのデータを用いることで一部の仮説を証明するための成果が得られたことから、その成果を基に論文を執筆し、投稿、採択されている。一方、当初目的としていた、がんとDSとの関連性の解明についてはまだ十分ではなく、計画通りのトランスクリプトーム解析が必要と考えられる。すでに準備を完了し、一部は解析を開始しており、計画全体としては順調に推移していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
トランスクリプトーム解析を完了させ、より発現データを増強した上で、がん発症など、より頻度の低い疾患におけるDSの関連性の解明を進める。出版した論文に関係する成果について国内学会で報告する。当初予定していたアメリカ免疫学会等、国外で開催される学会についても、状況が許せば参加し、成果の報告を行う。その他、現時点で研究の遂行上大きな課題となっている問題は特に存在しない。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症の流行が続き、計画していた国内外の学会に参加できない状況が続いている。購入する計画のあるコンピューターについても、欠品や納期の遅れが予想されており、購入を延期している。今後、解析データを増やすのに伴い、解析試薬とデータを処理するコンピューター、データ保管用の記録メディアの購入分については、次年度早期の使用を計画している。感染状況が落ち着いて来たことに伴い、次年度後半にかけて、これまで参加できなかった各種学会に積極的に参加し、情報収集と成果についての報告を行うため、旅費についても使用を計画している。その他については、得られた成果の論文発表に必要な諸経費として使用する。
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