研究課題/領域番号 |
20K10511
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
苅田 香苗 杏林大学, 医学部, 教授 (40224711)
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研究分担者 |
吉田 正雄 杏林大学, 医学部, 准教授 (10296543)
苣田 慎一 杏林大学, 医学部, 学内講師 (90639791)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 微小粒子状物質(PM2.5) / ホルター心電図 / 循環器障害 / 不整脈 / 大気汚染物質濃度 |
研究実績の概要 |
都内の一大学付属病院・循環器内科を2015年4月1日から2019年3月31日までに外来受診した患者のうち、動悸・胸痛・めまい等の訴え、睡眠時無呼吸症候群あるいは器質的心疾患の疑いによりホルター心電図計を装着し、24時間の心電図記録が保管されている687名について後方視的観察研究を行った。 診療録により患者の年齢、性別、身長・体重、職業、飲酒・喫煙習慣、現病・既往歴、内服薬を調べるとともに、患者住所より最寄りの一般環境大気測定局を特定した。東京都環境局Webサイトより各大気測定局におけるPM2.5時間値を入手し、心電図検査前日および検査前1週間の平均値を算出した上で、気象データを連結した。また各患者の心電図記録から、心房性および心室性期外収縮、発作性心房細動等のイベントを抽出し発生日時および発生頻度を調べた。 心血管系イベント発生と、当該日時および前日~7日前における住居最寄りの大気環境測定局のPM2.5観測値との関連を検討するため、性、年齢群、服薬、喫煙・飲酒習慣の有無等の層別に分析を行ったところ群間のPM2.5平均値に有意差はなく、不整脈発生頻度と検査前日のPM2.5濃度との間に相関関係は見られなかった。また、他の大気汚染関連物質(二酸化窒素, 二酸化硫黄, 一酸化炭素, 光化学オキシダント)を含め同様の解析を行ったが、関連性は認められなかった。 昨年度の解析で、短期PM2.5濃度の上昇が心房細動の発生に関与する可能性が示唆されたため、時間層化ケースクロスオーバー解析による検討を行った。患者の心血管系イベント発生日時と非発生日時を対照とした同一個人における症例対照ペアを作り、条件付きロジスティック回帰分析を実施したが、イベント発生日時およびその6時間~半日前移動平均PM2.5値の上昇とイベント発生に有意な関連性は認められなかった
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の流行以前より遡った過去5年間(2015~2019年)について、循環器内科受診者のホルター心電図サマリーおよび心血管イベントに関するデータ抽出作業が完了したが、症例追加後のデータセットのクリーニングと再解析がまだ十分でない。患者データの除外基準を精密化したデータセットで追加解析を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
2015~2019年間の患者データについて、重篤な循環器障害や基礎心疾患を有する患者を除外し、経過観察となった患者において(治療を要しない)期外収縮イベントの発生日時を特定した上で、その発生頻度と検査前日から検査一週間前までの平均PM2.5成分濃度との関係を検討する。 PM2.5成分濃度は、成分自動分析測定データを利用して、黒色炭素粒子、硫酸イオン、硝酸イオン、水溶性有機炭素などの各化学成分濃度について、相関分析および多重ロジスティック回帰分析によりイベント発生頻度との関係を検討する。 これらの解析結果を総合して、PM2.5の各成分曝露による循環器系への影響の可能性について考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
患者データの収集とデータセット作成が遅れたため、追加解析が完了しておらず、学会発表を行えなかった。次年度に学会発表と学術誌への投稿を計画しており、次年度分の旅費その他の使用額を確保している。
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