研究課題/領域番号 |
20K10522
|
研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
中島 宏 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 衛生学公衆衛生学, 准教授 (80217710)
|
研究分担者 |
四ノ宮 成祥 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 分子生体制御学, 教授 (40505260) [辞退]
中村 好宏 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 進学課程, 准教授 (60415255)
岩澤 聡子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 衛生学公衆衛生学, 講師 (10570369)
鈴木 聡子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 衛生学公衆衛生学, 助教 (30821780)
中山 昌喜 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 分子生体制御学, 講師 (50876000)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 血清尿酸値 / 女性 / 閉経 / 遺伝子多型 |
研究実績の概要 |
女性においても閉経後は血清尿酸値が上昇することが知られている。超高齢化社会を迎え、閉経状態を踏まえた女性の血清尿酸値を規定する要因を明らかにすることは、公衆衛生上の意義もある。本課題は、女性について、遺伝子多型(ABCG2遺伝子のQ141KおよびQ126X多型ほか)を含む既知の因子に加えて、閉経の状態を加味した血清尿酸値のモデルを作成し、血清尿酸値を規定する要因を明らかにすることを目的としている。 日本多施設共同コホート研究(J-MICC study)の支援を得て、第1回調査のデータを用い、まず、時間断面研究を行うことを目指した。最初に、解析に用いるデータセットを整備することに注力した。第1回調査のデータから年齢、肥満、飲酒習慣等の生活習慣、閉経に係る状況、血清尿酸値について抽出した。また、ホルモン補充療法の情報を利用し、補充療法を行っている者を対象者から除外した。このようにして年齢、肥満の状況、飲酒習慣、遺伝子多型に係る情報、閉経に係る状況(閉経前・更年期・閉経後)、血清尿酸値が含まれるデータセットを整備した。当初、1サイトでデータセットの構築を開始したが、最終的に、J-MICC studyに含まれるもうひとつのサイトを追加した。両者では背景の違いを反映して、飲酒率も異なっていた。研究の外的妥当性を高めるには、追加は妥当な判断であった。データセットを用いて、重回帰分析等の多変量解析により解析を開始したほか、閉経の状況とABCG2遺伝子多型とが血清尿酸値に及ぼす交互作用について検討した。なお、追加のサイトでは遺伝子多型の情報が今のところない者が少なくなく、課題である。また、ABCG2以外に、女性における血清尿酸値のモデルの精度向上に貢献する可能性があり、多型を同定して統計学的検討を行うべき遺伝子としてGLUT9などの適否を検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下のように、交付申請書(様式D‐2‐1)の研究実施計画に記載した事項のうち、ほぼ想定した内容について実施することを得た。 日本多施設共同コホート研究(J-MICC study)の支援を得て、第1回調査のデータを用い、まず、時間断面研究を行うことを目指した。最初に、解析に用いるデータセットを整備することに注力した。第1回調査のデータから肥満、飲酒習慣等の生活習慣、閉経に係る状況、血清尿酸値について抽出した。また、ホルモン補充療法の情報を利用し、補充療法を行っている者を対象者から除外した。このようにして飲酒習慣、肥満の状況、遺伝子多型に係る情報、閉経に係る状況(閉経前・更年期・閉経後)、血清尿酸値が含まれるデータセットを整備した。当初、1サイトでデータセットの構築を開始したが、最終的に、J-MICC studyに含まれるもうひとつのサイトを追加した。両者では背景の違いを反映して、飲酒率も異なっていた。データセットを用いて、重回帰分析等の多変量解析により解析を開始したほか、閉経の状況とABCG2遺伝子多型とが血清尿酸値に及ぼす交互作用について検討した。また、ABCG2以外に、女性における血清尿酸値のモデルの精度向上に貢献する可能性があり、多型を同定して統計学的検討を行うべき遺伝子としてGLUT9などの適否を検討した。
|
今後の研究の推進方策 |
21年度には、引き続きデータセットを用いて、重回帰分析等の多変量解析により解析を行う。年齢、肥満、飲酒、遺伝子多型、閉経の状況を要因とする血清尿酸値を規定するモデルを作成し、各項の係数の有意性により、血清尿酸値と共変量との関連を検討する。また、信頼区間の情報を伴う形で人口寄与危険割合を提示することも考慮している。なお、先行研究では、閉経前後でQ141K多型による血清尿酸値への影響が異なることが示唆されているので、閉経の状況とABCG2遺伝子多型の交互作用の項をモデルに入れて検討する。 J-MICC studyはコホート研究であり、第2回調査のデータがあるので、第1回調査との差をとることが可能である。そこで、2回の調査の間における血清尿酸値の差を取り、他の血清尿酸値に関係のある要因とともに、この間の閉経の経験の有無との関連を検討する。解析に当たっては、多型と閉経の経験の有無との交互作用についても配慮する。 同時に、ABCG2以外に、女性における血清尿酸値のモデルの精度向上に貢献する可能性があり、多型を同定して統計学的検討を行うべき遺伝子の検討を継続する。なお、データセット作成元とした2サイトのうち、片方では遺伝子多型の情報が今のところない者が少なくないので方策を検討する。関連する遺伝子多型同定は、作業を21年度にも行うことがある。 22年度には、解析結果を基に報告書を作成する。さらに、成果を学会発表や論文の形で公表する。なお、研究の動向により、追加の遺伝子多型同定の作業や解析を2022年度にも行うことがある。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初、旅費や人件費・謝金を合計で40万円、予算に計上していた。しかし、新型コロナウイルス感染症まん延に伴い、移動と対面での会合が困難な状況となっている。また、謝金についても、当初想定していた短期間の業務は発生しなかった。次年度以降の使用計画についは、「今後の研究の推進方策」に基づいて行っていく予定である。
|