研究実績の概要 |
腸内細菌叢は、生活習慣や健康状態に応じて変化するという説が多数存在しており、この変化に基づく腸内細菌叢と疾患発症との関連性を明らかにすることで、変動に基づく疾患管理のアプローチ等、新たな学術的知見が生まれる可能性がある。 本研究では個々人の腸内細菌叢の変動が個々の生活習慣等や全身健康とどのように関係しているのか明らにすることである。
研究方法としては、2005年から実施している弘前市岩木地区(旧岩木町)の一般住民に対して実施している大規模健診「岩木健康増進プロジェクト健診」において、受診者の腸内細菌叢の検体の取得・解析を行い、そのデータを基に本課題のデータ解析を行った。令和2,3年度については、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、健診実施日を延期することになったが、最終的には感染予防対策を十分に行った上で、規模としては例年の半数程度にはなったものの、約550名の参加者に対して健康調査を行った。本調査では、参加住民の全身の健康状態を網羅的に把握するために、約3000項目にも及び測定を実施しており、200名以上の健診スタッフらと密に連携しながらデータを収集した。腸内細菌叢の測定は嫌気性採取バッグにより住民それぞれが糞便を回収し、会場にて容器を回収し分析会社(株式会社テクノスルガラボ)に移送した。次世代シーケンス・アンプリコン解析により決定された塩基配列(生データ)はfastq形式で納品がされた。
データ解析ではN数の多い、2015から2019年度の間で、4回以上健診に参加した受診者データを用い、2015年度の参加者データをベースとして、短期的変化(2015から2016)、中期的変化(2015から2017)、長期的変化(2015から2019)で腸内細菌叢がどのように変動したか解析を行った。また、各年度で喫煙や肥満等の生活習慣データが腸内細菌に与える影響を検討した。
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