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2020 年度 実施状況報告書

デジタル薬ケースを用いたフィリピン結核患者における実際の服薬アドヒアランスの理解

研究課題

研究課題/領域番号 20K10530
研究機関長崎大学

研究代表者

鈴木 秀一  長崎大学, 熱帯医学・グローバルヘルス研究科, 戦略職員 (60867539)

研究分担者 FAGUER Benjamin  長崎大学, 熱帯医学・グローバルヘルス研究科, 特任研究員 (00867541)
コックス シャーロン  長崎大学, 熱帯医学・グローバルヘルス研究科, 教授 (80750140)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードアドヒアランス / 結核 / フィリピン / デジタル薬ケース
研究実績の概要

本研究の目的は、薬剤感受性結核菌の治療を行なっているフィリピン結核患者における実際の服薬アドヒアランスおよび服薬パターンを、デジタル薬ケースと問診での自己申告を用いて明らかにすることである。主要評価項目は、服薬アドヒアランス不良、及び、服薬パターンが不規則な結核患者を特定し、患者背景を明らかにすることである。
研究代表者は、「フィリピンの結核治療における低栄養と糖尿病への栄養介入法の構築に向けた観察研究(St-ATT 研究、研究代表者:コックス シャロン)」の現地常駐スタッフとして、フィリピンの都市部 2 か所、農村部 2 か所の結核外来で、新規に結核治療を開始する 18 歳以上の 800 名のフィリピン人結核患者を対象に研究参加に関する同意を得た上でコホート調査を行なっている。本研究では、コホート調査に参加する患者のうち、薬剤感受性結核菌の治療を開始する患者に対し、デジタル薬ケース(EvriMed)を治療開始時点で配布し、それを用いて服薬管理を行なってもらうよう指導し、約 150 名のデータを回収することができた。また、それらの患者と対面式の問診を行い、患者背景、治療情報、直近1週間における服薬の有無を患者の自己申告、アドヒアランスに関する質問票である尺度 MMAS-8 (Morisky Medication Adherence Scale 8 items)を用いて、服用しなかった理由など服薬アドヒアランスに関連した情報を収集した。
デジタル薬ケースのデータを回収できた患者のうち、 26 名のデータを探索的に確認したところ、 7 名(27%)の患者が服薬アドヒアランス不良、10 名(38%)の患者が1日のうちで様々な時間帯に結核薬を服用していることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「フィリピンの結核治療における低栄養と糖尿病への栄養介入法の構築に向けた観察研究」の現地研究看護師に対し、現在収集している情報の追加データとして、デジタル薬ケース(EvriMed)の配布方法、データの回収方法を指導し、150名以上の結核患者に配布することができた。コロナの影響により、現地研究看護師が患者と面会する為の交通手段を確保するのが難しい状況や、患者自身が結核外来に来院されない場合もあり、全ての患者から薬の服薬期間6ヶ月間全てのデジタル薬ケースの服薬情報を回収することはできなかったが、約 150 名のデータを回収することができた。
探索的に 26 名のデータを確認したところ、 7 名(27%)の患者が服薬アドヒアランス不良、10 名(38%)の患者が1日のうちで様々な時間帯に結核薬を服用していることがわかった。服薬アドヒアランスに関しては先行研究があるが、服薬時間の順守に関しては先行研究も少ないことから、どのような分類方法が適切であるかを吟味していく必要がある。また、1日1回服用の薬剤であるにも関わらず、1日に何度もデジタル薬ケースを開封している患者も一定数いることから、実際どのようにデジタル薬ケースをしていたのか等、確認した上で今後の解析を進めていく予定である。
上記探索的な解析結果は、2020年11月に大阪で開催されたグローバルヘルス合同大会2020にて、「Preliminary analysis of actual treatment adherence among Filipino with TB by the use of digital pillbox」の演題名にて筆頭著者として発表を行なった。

今後の研究の推進方策

全デジタル薬ケースのデータを取り込んだ解析用データセットの作成、データクリーニングを行なった後、主要評価項目、副次的評価項目に沿って解析を進める。服薬時間の順守や、デジタル薬ケースを1日に複数開封している症例に関しては、感度分析や実際の使用者の声を集めることにより、解析を進めていく。また、結果を国際誌に投稿するところまで今年中に行えれば良いと考えている。

次年度使用額が生じた理由

フィリピンでの活動であり、日本円ーフィリピンペソで差額が生じたため、1円単位での使い切りが難しかった。デジタル薬ケースの回収ができていない患者がいるため、現地スタッフから電話や直接訪問によって回収を行うのに使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] Nutrition Center of the Philippines/San Lazaro Hospital/Philippines Department of Health(フィリピン)

    • 国名
      フィリピン
    • 外国機関名
      Nutrition Center of the Philippines/San Lazaro Hospital/Philippines Department of Health
    • 他の機関数
      1
  • [学会発表] Preliminary analysis of actual treatment adherence among Filipino with TB by the use of digital pillbox2020

    • 著者名/発表者名
      鈴木秀一
    • 学会等名
      グローバルヘルス合同大会2020
    • 国際学会

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公開日: 2021-12-27  

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