研究課題/領域番号 |
20K10534
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研究機関 | 北海道千歳リハビリテーション大学 |
研究代表者 |
世古 俊明 北海道千歳リハビリテーション大学, 健康科学部, 准教授 (80808147)
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研究分担者 |
大西 浩文 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20359996)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高齢者 / 下肢筋量 / インスリン抵抗性 / 糖尿病 / 非肥満 / コホート研究 |
研究実績の概要 |
本研究では、コホート集団を対象に縦断研究を行い、肥満でない高齢者の下肢筋量の減少が、糖尿病発症とインスリン抵抗性(IR)進展に対する予測因子となるかを明らかにすることを目的としている。平成29~31年度に北海道壮瞥町の特定健診を受診した非糖尿病の高齢者500名を対象に令和2~4年度まで、糖尿病発症及びIR進展をエンドポイントとした最大6年間の追跡調査を行うものである。 今年度は昨年度に引き続き、COVID-19の影響により特定健診の受診者数に制限を設けていたため、追跡者数は80名程度に留まった。そのため、昨年度に行った既存データの解析をさらに進めた。昨年度の解析では、H29年に受診があった糖尿病及びIRの既往がない高齢者194名を対象にH30~31年でのIR進展をエンドポイントとした多変量解析を行い、高齢者の下肢筋量は肥満とは独立したIR進展のリスク因子であることが明らかとなった。しかし男女では、もともとの骨格量が異なることから、性差の検討が必要と考えられた。そのため今年度は同様のデータを用い、男女に層別した解析を進めた。最大2年間の追跡におけるIR進展者数は女性で39/115名、男性で23/79名であった。また年齢、性別、H29年度の腹囲径、HOMA-IRで調整した多変量解析の結果、女性における下肢筋量のハザード比は 0.80(95%CI : 0.66-0.97, p=0.025)であり、下肢筋量の減少がIR進展の有意なリスク因子であった。しかし、男性の下肢筋量のハザード比は 0.93(95%CI : 0.78-1.10, p=0.41)であり有意性を認めなかった。よって、この現象は男性よりも筋量が少ない女性では顕著となる可能性が示唆され、本研究を進めるうえで重要な知見となった。本結果は現在、論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19による、まん延防止等重点措置などの活動制限の影響により、研究フィールドである北海道壮瞥町特定健診の通常実施が困難な状況である。そのため予定の追跡者数には至っておらず進行に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
北海道では、令和4年3月22日よりまん延防止等重点措置が解除となり、令和4年度の特定健診受診者数の制限は緩和される見込みである。研究開始の準備は整ってきている。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で学会がweb開催となっていることや国際学会への参加見送りによる参加費や旅費の使用、および研究フィールドでの参加者数制限による人件費等の使用が少なかったため、次年度に持ち越しとなった。次年度以降は状況に応じて実験計画を進行する。
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