研究課題
本研究の対象者は研究代表者が参画している高血圧・脂質異常症・糖尿病の治療歴及び心血管疾患の既往がない都市部住民集団の男女1,134名を対象とした前向きコホート研究『日常的な健康度を指標とした都市コホート研究:神戸トライアル』(神戸研究)および山形県鶴岡市にて健康診断受診者11,002人を対象に質量分析法を応用した様々な手法で低分子の代謝産物を網羅的に解析するメタボローム解析技術を取り入れた前向きコホート研究『鶴岡メタボロームコホート研究』(鶴岡研究)であり、これら2つの地域コホート研究を基盤として、自己抗体と認知症・フレイル・生活習慣病及び循環器疾患の新規発症との関連を検証し、一般集団における自己抗体発現の臨床的・生物学的意義の考察を進め、自己抗体の陽性と認知症・フレイル・生活習慣病及び循環器疾患の関係を評価し、ハイリスクポピュレーションの同定による予防戦略を構築することを目的としている。しかしながら、2020年度に引き続いて、2021年度も新型コロナウイルスの影響により、両コホート研究共に現地調査は停止もしくは規模縮小しての運用をせざるを得ない状況であったため、今年度は既存データを用いた関連研究として、都市部一般住民における非特異的ストレス指標と将来のフレイル発症リスクとの関連を評価した研究や都市住民における推定1日食塩摂取量と塩分知覚によるGFR低下速度平均との関連を縦断的に評価した研究(以上、神戸研究)や閉経状態と関連する血漿代謝物プロファイルに関する研究(鶴岡研究)などに携わった。
3: やや遅れている
研究実績の概要で述べたように、2021年度は両コホート共に現地調査を行うことが出来ず、保存検体を用いたバイオマーカー等の測定も保存検体を保管している機関へのアクセスが物理的に非常に困難であったため、2021年度に予定通り進めることが不可能であった。また、研究代表者が本務校所属学部においてオンライン授業関連への対応を司る委員会(メディアIT関連委員会)の委員長および年度途中からは学部執行部として新型コロナウイルス流行下での学部全体の運営に携わる立場であったため、2020年度に引き続いて教育および学部運営に要するエフォートが増加し、本研究を含む研究活動へのエフォートを軽減せざるを得ない状況にあった。このように本研究は予期せぬ新型コロナウイルス流行の影響を大きく受けたこともあり、今年度の研究進捗状況は「(3)やや遅れている」とした。
2022年4月現在、新型コロナウイルスはまだ収束のメドはたっていないものの、神戸研究は2022年7月より再開する方向で準備を進めている。よって、感染流行が落ち着いた頃を見計らって、利用可能な保存検体を用いて自己抗体などの各種バイオマーカーの測定を行う予定である。併せて、ベースラインでの自己抗体測定が完了している神戸研究において、ベースライン調査時自己抗体価と追跡調査での生活習慣病新規発症との関連についての評価を2021年に引き続いて進める予定である。また、【現在までの進捗状況】で述べたように、今年度は保存血清を用いた自己抗体の測定を見送ることにしたが、その理由は前述のように新型コロナウイルス流行の影響により保存血清保管施設への物理的なアクセスが困難であった事に加えて、保存血清の残量及び保存検体の取り扱いの関係上、別研究にて測定予定のバイオマーカーと併せて2022年度以降に測定する方が望ましいと判断したためである。
今年度は保存血清を用いた自己抗体の測定を見送ることにしたが、その理由は新型コロナウイルス流行の影響により保存血清保管施設への物理的なアクセスが困難であった事に加えて、保存血清の残量及び保存検体の取り扱いの関係上、別研究にて測定予定のバイオマーカーと併せて2022年度以降に測定する方が望ましいと判断したためである。
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Maturitas
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