研究実績の概要 |
本研究課題のテーマである人為災害とCBRNE災害については、それぞれウクライナ侵攻とCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)という世界的事象が生じている。それらを反映して、2022年度は以下のような研究実績となった。 ●ロシアによるウクライナ侵攻は、直接の被災者のみならず、関係者やメディアの視聴者に生じる心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病などの変化を調査・啓発する必要があった。それにあたり英文論文を数編執筆し、日本におけるメンタルヘルスケアの要配慮者(Shigemura J, Takahashi S et al, Psychiatry Clin Neurosci, 2022)、原発事故などCBRNE災害に至る際の注意点(Morganstein JC et al, Psychiatry Clin Neurosci, 2022; Morganstein JC et al, Psychol Med, 2022)を出版した。ロシア在住邦人においては生活環境の急激な変化のみならず、戦争に巻き込まれる猛烈なストレスが生じている。そのため、現地の邦人機関と協力し、実態調査を行い、メンタルヘルス対処への教育を実践した(Shigemura J, Komuro H et al, Psychiatry Clin Neurosci, 2022)。これら知見は、本研究の最終成果物に応用する予定である。 ●人為災害・CBRNE災害を現時点でレビューする目的で、和文の総説論文を執筆した。(重村淳、黒澤美枝:人為災害・CBRNE災害がメンタルヘルスに及ぼす影響。精神医学, 2023) ●大阪クリニック放火殺人事件について論文を執筆した(Shigemura J et al, Disaster Med Public Health Pre, 2022)。 ●ウクライナ侵攻および安倍元首相銃撃事件によって、衝撃的な内容の報道によって精神的不調を来たす人々が多発し、各種メディアに出演して対処方法を啓発した。(NHKテレビ・ラジオ、日経・朝日・読売・毎日・産経・西日本新聞など全国紙・地方紙・ニュースサイト)
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