研究課題/領域番号 |
20K10546
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
都築 慎也 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 国際感染症センター, 応用疫学研究室医長 (60634912)
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研究分担者 |
新庄 正宜 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (20276314)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | インフルエンザ / ワクチン効果 / COVID-19 |
研究実績の概要 |
2022年度も2021年度に続いて、新型コロナウイルス感染症の影響により当初の計画を変更して研究を実施した。 新型コロナウイルス感染症流行下では人々の行動様式が大きく変化したため、この変化と今後の傾向を捕捉することがインフルエンザの疫学を考慮する上で将来重要になると考えられる。昨年度から継続して行っていた質問票調査によるヒトとヒトの接触頻度がパンデミック前後でどのように変化したか、また東京オリンピックのようなマスギャザリングイベントの実施下でいかに影響されるかをベルギー・アントワープ大学との共同研究として論文化・公表した(DOI: 10.7189/jogh.12.05047)。ヒト-ヒト間の接触頻度はパンデミック前と比べ激減し、また無観客開催の影響もあってかオリンピックによる明らかな接触機会の増加は見られなかった。 また新型コロナウイルス感染症流行下での入院患者数・検出細菌数などを調査し、パンデミック後の社会では手指消毒薬の消費量が増加した一方、肺炎球菌の検出数が減少傾向にあることを明らかにした(DOI: 10.1016/j.jiac.2022.08.028)。さらに高齢者における呼吸器感染症の重症化において身体活動レベルが大きな影響をもたらすことを報告し(DOI: 10.1017/s0950268822001686)、新型コロナウイルス感染症ではLong-COVIDによる追加の疾病負荷があることを明らかにした(DOI: 10.1186/s12955-022-02033-6)。 小児におけるワクチン効果に関しては、パンデミック以前(2013/14~2019/20シーズン、サンプル数29,400)において予防効果があったことを示し、原著論文として発表した(doi: 10.1016/j.vaccine.2022.04.033)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度同様、新型コロナウイルス感染症の出現により研究計画の変更を余儀なくされているため上記の区分で評価することは難しいものの、今年度も一定の研究成果を得ているため上の評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き我が国におけるインフルエンザの発生動向を注意深く観察する必要がある。 小児の患者についてある程度インフルエンザ患者数が見込めるようになったため分担研究者の新庄正宜を中心に2022/23シーズンの小児インフルエンザ患者についてデータを集積し今年度早期に解析を行う見込みである。 また昨年度実施した将来のインフルエンザ疫学研究に資する研究を継続するとともに、共同研究者である新庄正宜とともに過去のインフルエンザ症例を整理し、新型コロナウイルス感染症流行以前の日本においてインフルエンザワクチンの効果がいかほどであったかを定量的に評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症流行による研究計画変更のため。
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