研究実績の概要 |
COVID-19パンデミックの影響で当初の研究計画を変更することを余儀なくされた本研究課題は、研究期間についても一年間延長し、4年目となる2023年度が最終年度となった。最終年度は変更後の研究計画であるCOVID-19と季節性インフルエンザの差異を把握することに引き続き取り組み、日本におけるCOVID-19の疾病負荷が他の高所得国と比較して低かったこと、それでもなおパンデミック前の季節性インフルエンザを上回る負荷であったことを明らかにした。結果は原著論文としてJournal of Infection and Public Healthに掲載された(Tsuzuki S and Beutels P, DOI: 10.1016/j.jiph.2023.05.025)。 また季節性インフルエンザワクチンを接種することで、外来診療での抗菌薬消費量を抑制しうることを示唆する結果が得られたため、インフルエンザワクチンの追加効果として原著論文で報告した(Tsuzuki et al., Journal of Antimicrobial Chemotherapy. DOI: 10.1093/jac/dkad340)。 2022-23シーズンはCOVID-19パンデミック後、日本で初めて季節性インフルエンザとCOVID-19が時期を同じくして流行したシーズンでもあり、同期間での小児におけるワクチン効果をTest-negative designで推定した。6~12歳の小児、基礎疾患を有する小児についてインフルエンザA型に対してワクチンは明らかな予防効果を示し、総じて今後もインフルエンザワクチンの接種を推奨するに足る結果であった(Shinjoh et al. Vaccine. DOI: 10.1016/j.vaccine.2023.06.082)。
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