研究課題
本研究では、NASHにおける血管内皮ミトコンドリア障害と急性心筋梗塞との関連を解明することを目的とする。非アルコール性脂肪性肝炎(以下、NASH)の発症と病態進展は、急性心筋梗塞発症と相関することが分かっている。血管内皮は、肝臓と心臓に共通に分布し、その内皮のミトコンドリアが障害されると、過剰な活性酸素の産生、アポトーシス、オートファジー、小胞体ストレスを引き起こし、全身臓器疾患の原因となる。しかし、内皮ミトコンドリア障害がNASHと急性心筋梗塞に関連するかは分かっていない。当該年度は、以下のことを明らかにした。①NASHを起こす特殊飼料(コリン欠乏食)を数週間投与することで作製したNASHモデルマウスにおいて、対照群である健常マウスと比較してミトコンドリア分裂に直接関連するDrp1タンパク質が肝細胞内で高発現していること。②ミトコンドリア分裂の影響をみるための予備実験でDrp1阻害剤単剤を投与した時にマウスの生存率、肝障害、脂肪化、炎症反応に大きな影響はみられないこと。③このDrp1阻害剤投与により肝障害の進展抑制がみられることが分かった。
2: おおむね順調に進展している
コロナ感染症の影響で動物実験を進めることができない時期があったが、当該年度後半からは実験再開でき、研究デザインの改良、効率化を図ったためサンプル採取と解析を順調に進められるようになったため。また、コロナ感染症の影響により学会参加や勉強会参加が少なくなったためこれまでよりも研究にエフォートすることができたため。
今後は、NASHにおける炎症、線維化、ミトコンドリアのバイオジェネシスがどのように変化しているのかを調べるためのタンパク質やmRNA発現変化解析を進め論文執筆を始める予定である
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)
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