研究課題/領域番号 |
20K10564
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
野上 誠 帝京大学, 医学部, 教授 (20218291)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 血管新生 / 時間遺伝子 / マウス / 免疫組織化学 / CD31 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、時間遺伝子が血管新生に果たす役割を明らかにすることである。研究代表者は、過去の研究において、透過型電子顕微鏡により血管内皮の創部へののびだしを観察し、幼弱な内皮細胞と考えられるものが分裂している像を認めた。光顕では創部に新生した血管が、早期では皮膚に直角方向に長く伸び出しており、これが時間とともに健常部同様の血管走行に変化していくことを確認している。これは内皮細胞の形態の一種のリモデリングと考えられ、血管内皮構造のリモデリングという新しい概念があることを示している可能性がある。このような形態変化を捉えることにより、創傷の古さの判定や、治癒過程が正常に進んでいるかを判定することができることが期待される。さらに、研究代表者は、過去の研究において、時間遺伝子のミュータントマウスでは、血管新生因子のmRNAの発現の時間経過がコントロールマウスと異なっていることを明らかにしてきた。 そこで、本研究においては、時間遺伝子のミュータントマウスである B6.Cg-Per2tm1Brd Tyrc-Brd/JとそのコントロールマウスであるB6(Cg)-Tyrc-2J/Jについて、皮膚に創を作成し、一定期間後に創の組織を採取し、連続切片について血管内皮マーカーであるCD31で免疫染色し、3D画像を構築してきた。3D構築は厚みにおいて立体像に限りがあるため、通常の免疫染色像において新生血管伸び出しの面積を計測した。その結果、時間遺伝子のミュータントマウスでは、コントロールマウスに比べて、新生血管の伸び出しの面積に有意差は見られないことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
時間遺伝子ミュータントマウスにおいて、創部の血管新生の進展につき、免疫組織化学的評価を実施した。すなわち、本研究においては、時間遺伝子のミュータントマウスである B6.Cg-Per2tm1Brd Tyrc-Brd/JとそのコントロールマウスであるB6(Cg)-Tyrc-2J/Jについて、皮膚に創を作成し、一定期間後に創の組織を採取し、連続切片について血管内皮マーカーであるCD31で免疫染色し、3D画像を構築してきた。3D構築は厚みにおいて立体像に限りがあるため、通常の免疫染色像において新生血管伸び出しの面積を計測した。 その結果、時間遺伝子のミュータントマウスでは、コントロールマウスに比べて、新生血管の伸び出しの面積に有意差は見られないことが示された。
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今後の研究の推進方策 |
過去の研究において、時間遺伝子のミュータントマウスでは、血管新生因子のmRNAの発現の時間経過がコントロールマウスと異なっていることを明らかにしてきた。 そこで、マウスを、明暗の日内変動をなくした環境下に置き、創部の血管新生因子のmRNAの発現に変化が生じるかを検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究期間の延長しており、延長期間におけるマウスの実験に使用する。明暗の日内変動のない環境で、創部の血管新生因子のmRNA発現に変調をきたすかを検討する。
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