高血圧性心不全および虚血性心不全による突然死を対象に、ヒト心臓組織のプロテオーム解析を行った。突然死群では、MYH7、MYL3、ACTC1といった細胞骨格タンパク質が増加していた。また、心肥大群では、ACTC1は突然死群と同程度増加していたものの、MYH7とMYL3のmRNA増加は中程度にとどまっており、生理的心肥大から致死性心肥大に至る過程で、細胞骨格タンパク質が段階的に増加することが明らかになった。さらに、免疫染色ではMYH7が突然死例の内縦走筋で増加していた。ヒト心臓壁は内・中・外の3層構造から成り、筋層ごとのタンパク質発現プロファイルの変化が突然死のリスクとなる可能性が示された。
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