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2020 年度 実施状況報告書

新規前処理法を用いた血中薬毒物LC-MS/MS分析法開発とその評価法の検討

研究課題

研究課題/領域番号 20K10568
研究機関愛知医科大学

研究代表者

小川 匡之  愛知医科大学, 医学部, 講師 (50559937)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード除タンパク・除リン脂質カラム / LC-MS/MS / マトリックス効果
研究実績の概要

本年度は、ISOLUTE PLD+カラムを用いた前処理法とLC-MS/MSを組み合わせ、全血中のネオニコチノイド系殺虫剤を一斉分析する方法について検討を行った。ネオニコチノイド系殺虫剤は、比較的安全性が高いと言われているが、摂取による急性中毒、さらには死亡例も報告されている。従来から用いられているアセタミプリド、イミダプロクリド、クロチアニジン、ジノテフラン、チアクロプリド、チアメトキサム、ニテンピラムの7種類のネオニコチノイド系殺虫剤に加え、近年承認されたスルホキサフロル、フルピラジフロン、トリフルメゾピリム、更にネオニコチノイド系殺虫剤に似た作用を示すフィプロニル、エチプロール、フロニカミドの計13種類の殺虫剤を対象とした。あらかじめアセトニトリルおよびメタノールを注入したISOLUTE PLD+カラムに、対象化合物と内部標準物質(アセタミプリド-d3、ニテンピラム-d3、フィプロニル(3-シアノ,ピラゾール-3,4,5-13C4,3-シアノ,5-15N2))をスパイクした血液を水で等倍希釈後に負荷した。カラムを10分間遠心分離後、溶出液を遠心エバポレーターで乾固した。得られた残渣をメタノールに再溶解後、分析に供した。
検出限界は対象化合物によって大きく異なり、0.02-10 ng/mLであった。3種類の内部標準物質を用いることで、検量線はすべての対象化合物において定量濃度範囲内で良好な直線性(r2>0.99x)を示した。
ISOLUTE PLD+カラムを用いる前処理法は、全血中の殺虫剤を簡便、迅速に抽出することが可能であり、得られた検量線の直線性も良好であるため、全血中のネオニコチノイド系殺虫剤の一斉分析法としての有用性が期待できる。今後さらにバリデーションを進めて一斉分析法の確立を目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

除タンパク・リン脂質除去カラムISOLUTE PLD +を血中薬毒物のLC-MS/MS分析前処理へ応用する検討は、抗精神薬20種の研究は、成果を論文として投稿する段階であり、ネオニコチノイド系農薬に関しては、着実に結果を得つつある。
一方、前処理法評価のためのマトリックス効果原因物質の探索は、実験系の構築に時間を要している。

今後の研究の推進方策

ISOLUTE PLD +を血中ネオニコチノイド系農薬のLC-MS/MS分析前処理へ応用する研究は、今年度中に論文化する予定である。また、自然毒の研究も測定条件の最適化検討を行う。
前処理法評価のためのマトリックス効果原因物質の探索は、LC-QTOF-MSを用いて原因候補物質の探索を開始する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ過で業者との打ち合わせが進まず、ソフトウェアの導入が遅れたため。
本年度の購入を予定している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 法医学分野における薬毒物分析のための生体試料前処理法2020

    • 著者名/発表者名
      小川匡之, 近藤文雄, 岩井雅枝, 久保勝俊, 妹尾 洋
    • 雑誌名

      JSBMS Letters

      巻: 45 ページ: 36-44

  • [学会発表] 除タンパク・リン脂質除去カラムISOLUTE PLD+を用いた全血中向精神薬のLC-MS/MSによる一斉分析法2020

    • 著者名/発表者名
      小川匡之, 近藤文雄, 岩井雅枝, 鈴木隆佳, 久保勝俊, 妹尾 洋
    • 学会等名
      日本法中毒学会第39年会
  • [学会発表] LC-MS/MSによる血中ネオニコチノイド系農薬の一斉分析法の開発 ―除タンパク・リン脂質除去カラムISOLUTE PLD+を用いた前処理法の検討―2020

    • 著者名/発表者名
      小川匡之, 近藤文雄, 岩井雅枝, 久保勝俊, 妹尾 洋
    • 学会等名
      第45回日本医用マススペクトル学会年会

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公開日: 2021-12-27  

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