研究課題/領域番号 |
20K10570
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58040:法医学関連
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研究機関 | 三重大学 (2021-2023) 久留米大学 (2020) |
研究代表者 |
大島 徹 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (70464427)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 揺さぶられっ子症候群 / 網膜分離 / 眼軸長 / 眼底出血 / 法医病理 / 子どもの虐待 / 網膜ひだ |
研究成果の概要 |
虐待による重症頭部加速度損傷の所見の一つに出血性網膜ひだがある.本研究は重症頭部加速度損傷で視神経が牽引される際に,眼軸長に影響するかを検討し,出血性網膜ひだの発生機序を再確認するものである.通常時,視神経牽引時の眼軸長の比較を行ったところ,差を認めなかった.次に,牽引による眼軸長の変化について後部硝子体剥離の影響を調べたところ,後部硝子体剥離は影響していなかった. 2歳以下の症例について,通常時,牽引時の眼軸長の比較を行ったところ,差を認めなかった.視神経の牽引によって眼軸長が伸張することはなかった.従来通り,出血性網膜ひだは硝子体の振盪によって網膜が牽引されることで生じていると考えられた.
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自由記述の分野 |
法医学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の結果から,眼球は眼窩内脂肪組織によって囲まれており,後頭部打撲や揺さぶりによって,眼球の形状変化が生じて出血性網膜ひだができるという成傷機序は考え難いことがわかった.このことから,出血性網膜ひだは従来通り,硝子体の振盪による網膜の前方牽引で生じていると考えられた.児童虐待による頭部外傷は家庭内という密室で起こるため司法判断が難しく,転落事故と明瞭に鑑別できないことが裁判上で大きな問題となっている.出血性網膜ひだは従来通り,重症頭部加速度損傷や揺さぶりに伴う眼損傷と考えられ,虐待に伴う頭部外傷と家庭内事故による低所転落等との成傷機転の鑑別に重要な所見と考えられた.
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