研究課題
血清タンパクの1つであるヒトハプトグロビン(HP)は、肝臓で作られる人によって異なる型を示す多型蛋白である。HP多型と関連が認められる疾病が数多く報告され、さらに最近、いくつかの遺伝子多型が血中HP濃度に影響し、コレステロール濃度とも関連することが分ってきた。現在までにその理由は理解されていないが、多面的な機能を有するとされているHPの未知の機能による可能性も考えられる。我々は、モンゴル人集団で認めた、肥満群でのHP濃度とコレステロール濃度間の正の相関と、HP多型とHP濃度あるいはコレステロール濃度の関係に肥満が及ぼす影響について、日本人集団を対象とした相関解析により検証するために本研究を計画した。研究計画初年度の当該年度は、使用する検体量の節約と効率化をはかるため、これまで用いてきた方法よりもさらに多数検体、微量解析により適した方法の探索、開発をおこなった。①遺伝子多型解析法については、HP遺伝子欠失とrs2000999の解析はいずれもTaqMan probeに基づくリアルタイムPCR法を用いていたが、今回High Resolution Melting(HRM)法とprobe法を組み合わせた同時判定法を試みた。2つの同時判定を可能にする解析法は開発出来なかったが、HRM法によるrs2000999の遺伝型判定は可能であり、正確に判定することが出来た。②HP濃度測定法については、これまでおこなってきたELISA法では、検体の段階的な希釈、抗体との反応や複数回の洗浄が必要で煩雑であるため、希釈や洗浄、発色の過程が不要な自動生化学分析装置用の試薬とプレートリーダーを用いた方法について現在検討中である。
3: やや遅れている
当初はこれまで用いてきた方法で解析をおこなう予定であったが、使用出来る試料量が少ないことに加え、効率の良い方法を導入することにより試料のみならず、試薬や時間の軽減、人為的エラーを減らすことが出来ると考え、予定に無かった解析法の探索、開発をおこなったため、予定していた対象サンプルの解析に至っていないが、効率化が実現できれば短期間で遂行できるものと予想される。
前述の通り解析の効率化は多数検体を対象とする当該研究計画の実施に大きなメリットがあると考えられることから、今後もより良い解析条件を検討してゆく予定である。その後、対象サンプルについて当初の予定通り、HP遺伝子多型解析とHP濃度測定を同時並行しておこなっていくものとする。
当初はこれまでに使用してきた方法を用いて遺伝子多型解析、蛋白定量検査をおこなう予定であったが、より効率的に処理する目的で、解析方法の探索、条件検討をおこなったため、次年度使用額が生じた。これらは、引き続き多型解析や蛋白定量検査の条件検討に使用する予定である。
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