ハプトグロビン(HP)遺伝子と、その隣のHP関連遺伝子HPRに存在するバリエーションと、血中HP濃度やコレステロール濃度には相関関係がみられる。この関係には肥満や過体重が影響することが他集団の解析を通して示唆されたことから、本研究は、日本人集団を対象し、相関関係を確認するとともに、現在までに報告されていないコレステロール代謝におけるHPの役割、肥満や過体重の影響を明らかにしたいと考え実施した。 最終年度である今年度は、ELISA法に替わる多数検体の処理に適したHP定量検査法の開発をすすめた。自動生化学分析装置用の試薬を用いたアッセイのダイナミックレンジが狭かったので、Lumitテクノロジーが適応可能かどうかを検討した。この方法は生物発光を利用した抗原や抗体の特異的な検出法であり、イムノアッセイのプロトコルを簡素化し短時間で結果を得ることができる。現在も条件検討をおこなっており良いシステムが確立できればこの方法を用いる予定である。 遺伝子多型解析については、多数検体(384プレートに配置されたDNA)に適し、かつ微量検体を対象とした、probe-based fluorescence-melting-curve-analysis(プローブを利用した蛍光融解曲線解析)によるHPRに存在するrs2000999とエンドポイント法によるHP完全欠失アレル(HPdel)の接合性判定を1度の反応で判定する方法を設計した。 研究計画が遅延し現在までに研究の目的は達成できていないが、特に遺伝子解析については、1回の反応で融解曲線解析とエンドポイント法の両法を利用した2座位の同時タイピングについての報告はこれが初めてであり、本研究の遂行により解析法の可能性を広げることが出来た。今後実サンプルに応用し知見を得たいと考えている。
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