研究課題/領域番号 |
20K10576
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
深田 美香 鳥取大学, 医学部, 教授 (10218894)
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研究分担者 |
奥田 玲子 鳥取大学, 医学部, 准教授 (40632930)
三好 雅之 鳥取大学, 教育支援・国際交流推進機構, 准教授 (60632966)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | プロフェッショナリズム / 多職種協働 / リフレクション |
研究実績の概要 |
本研究は、臨床判断に関する多職種協働リフレクションによる医療プロフェッショナリズムの発達を明らかにすることを目的とする。 本研究では、次の3点を研究課題としている。(1)職種の違いによる臨床判断の特徴・内容・判断根拠を明らかにし、多職種協働リフレクションの方法を開発する。(2)医療専門職プロフェッショナリズム評価尺度を開発する。(3)多職種協働リフレクションによる医療専門職プロフェッショナリズムの発達を評価する。 プロフェッションが専門職要件に言及しているのに対し、プロフェッショナリズムは、内在的に、社会的に、専門職に涵養されるべき、卓越性、ヒューマニズム、説明責任、利他主義等の能力、態度、スキルを統合させた複合的な概念である。医療専門職プロフェッショナリズムは、医療に携わる専門職として、個人の信念が機能的に連結した価値観に方向づけられている職業固有の態度と行動であり、メタ認知の一部として個人の態度・行動を統制する源泉となる。そして、その医療者のプロフェショナリズムは、「医療専門職の基礎となる人格形成と能力」、「患者・自職種・多職種との相互作用」、「社会的責任を果たす」の3分野で構築されている。 令和4年度は、課題(2)医療専門職プロフェッショナリズム評価尺度の信頼性および妥当性の検討を行った。具体的には、医療専門職プロフェッショナリズム概念の検討、職種による医療専門職プロフェッショナリズム概念の相違、多職種で共通する医療専門職プロフェッショナリズムの要素について理論的検討を行った。そして、医療専門職プロフェッショナリズム尺度開発のための研究計画を立案し、尺度試作版を作成した。作成した尺度を用いて、急性期病院に勤務する医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を対象に、プロフェッショナリズムについて調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2~3年度は、課題(1)職種の違いによる臨床判断の特徴・内容・判断根拠を明らかにし、多職種協働リフレクションの方法を開発することを計画していたが、臨床での参加観察、インタビュー等の方法による研究を進めることが困難であったため、課題(2)医療専門職プロフェッショナリズム評価尺度開発に取り組んだ。 令和4年度は、医療専門職プロフェッショナリズムを測定するため、倫理審査を受審し、承認を得た。医療専門職プロフェッショナリズム尺度試作版を用いて、急性期病院に勤務する医師、歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士、放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を対象に調査を実施した。現在、得られたデータのクリーニング、項目分析、探索的因子分析、確証的因子分析が終了している。医療プロフェッショナリズムの構成概念の妥当性や尺度の併存概念妥当性、信頼性などについて、さらに詳細に分析を行っている。また、職種による医療プロフェッショナリズムの相違についても分析を継続している。
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今後の研究の推進方策 |
課題(1)職種の違いによる臨床判断の特徴・内容・判断根拠を明らかにし、多職種協働リフレクションの方法を開発する。ただし、当初予定していた「多職種で構成された医療チーム(転倒転落予防チーム等)に所属し活動している専門職者を対象に、チームに所属する医療者で連携して介入している特定の患者の課題についての臨床判断についてインタビューを行う」ことは困難であると予想される。社会人大学院生等の協力が得られやすい医療専門職者を視野に入れて、研究対象者を広げることを検討する。 今後は、研究課題(3)多職種協働リフレクションによる医療専門職プロフェッショナリズムの発達の評価に着手する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度は、課題(2)医療専門職プロフェッショナリズム尺度試作版を用いて、急性期病院に勤務する医師、薬剤師、看護職、リハビリテーション職、臨床検査技師等の医療専門職を対象に医療専門職プロフェッショナリズムを調査した。調査用紙の印刷、データ入力作業に経費を使用した。 課題(1)職種の違いによる臨床判断の特徴・内容・判断根拠を明らかにし、多職種協働リフレクションの方法を開発するについては、臨床での参加観察、インタビュー等の方法による研究を進めることが困難であったため、謝金、人件費などの支出を行わなかった。 また、国内外での学会発表を予定していたが出張に制限があり中止したこと、学会出張を計画していたがオンラインによる学会開催等に変更になったため、旅費の支出を行わなかった。 令和5年度は、課題(1)職種の違いによる臨床判断の特徴・内容・判断根拠を明らかにし、多職種協働リフレクションの方法を開発する。社会人大学院生等の協力が得られやすい医療専門職者を視野に入れて、研究対象者を広げることを検討する。その際、インタビューデータの逐語録作成や分析に経費が必要となる。また、国内外で開催される学会での成果発表のため、参加費や旅費を支出する予定である。
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