研究課題
医療介護福祉分野で患者や利用者への不適切な対応や虐待を防止するため、援助職自身の感情マネジメントが求められている。本研究では、医療介護福祉職の怒り感情に着目した感情教育プログラムを構築・実施し、怒り、攻撃性などを指標として教育の効果を検証する。より効果的な教育モデルを構築するため、学習ニーズに応じたプログラム内容を検討するとともに、プログラムの実施形態として集合教育と小規模グループ学習、1回研修と反復学習による教育効果を比較検証する。これにより医療介護福祉職への効果的なメンタルヘルスケア教育を提案し、良好な精神状態で質の高いケアを提供できる環境づくりに貢献する。本研究は、先行する研究課題(17K12164)で実施した教育プログラムおよびその効果測定の調査を踏まえ、最終年度前年度申請によって引き継いだ研究課題である。先行課題では、講義とグループワークによる演習を組み合わせた教育プログラムを整備した。2020年度は、先行課題において収集したデータを分析し、研究プログラムの改訂のための課題を抽出した。2021年度は看護職に実施した教育プログラムの効果測定について論文を投稿し、2022年度に採択掲載された。先行研究から引き続きプログラムを実施したが、感染症拡大の影響により研修がオンラインになったり、時間や集団の規模が変更されたりと不安定であったため、教育プログラムの時間および規模のほかにオンラインによる実施を想定して柔軟な効果測定を検討し、参加者およびコントロール群の募集を行っている。
2: おおむね順調に進展している
先行する研究課題(17K12164)で実施した教育プログラムおよびその効果測定の調査の結果分析を進め、効果を維持するための課題を導いた。また、その課題を踏まえ本研究で改善した教育プログラムの実施に向けて、小規模で継続して効果測定を行うための対象施設の選定を行った。反復学習のための日程と参加者の募集、あわせて施設内でのコントロール群を設定して効果測定の準備を整えている。
研究期間を通して、教育プログラムの実施と修正、効果測定を繰り返し、データを蓄積・分析し、成果を公表する。今後の研究の推進方策としては、教育プログラムの対象の職種や職位などのグループ選定、教育プログラムの実施の規模や回数などを調整して実施準備が整っており2023年度に実施予定である。一回のプログラムで実施した際のデータから職種ごとの解析を進めており、本研究で実施するプログラムのデータと並行して論文化を進める予定である。
本研究課題は、医療介護福祉職への教育プログラムを実施する計画だが、2020年から感染症拡大の影響を受け、予定していた教育プログラムを実施するための集合研修が中止もしくはオンラインへ変更となり、また、関係学会の学術集会等もオンラインへ変更となったため旅費の予定変更による繰越額が生じた。2023年度は対面での学会参加が戻り、さらに論文を投稿予定のため、当初予定よりも次年度の出費がかかる見通しである。
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Nursing open
巻: 10 ページ: 998-1006
10.1002/nop2.1367
ストレス科学
巻: 36 ページ: 247-255