研究課題/領域番号 |
20K10579
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研究機関 | 長野県看護大学 |
研究代表者 |
西垣内 磨留美 長野県看護大学, 看護学部, 名誉教授 (70360021)
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研究分担者 |
太田 克矢 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (60295798)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 看護系大学院生 / 教育支援 / 英文要約 / 看護系若手研究者 |
研究実績の概要 |
本研究は、英文要約作成システムの構築により、看護系若手研究者の研究公表支援、看護系大学院英語教育の補足、さらには利用の拡大や定着により見込まれる波及効果として、看護学研究の発展への寄与を行うことを目的としたプロジェクトの一環として位置付けられている。令和3年度は、前年度の遅れを取り戻し、先行研究において制作したシステムの実効性の確認の第1段階、すなわち、タブレット機器に搭載した英文要約作成システムの試行、並びにアンケート調査によって、その結果から、システムに盛り込まれた内容、及び操作性を検討し、実効性の確認と改善版の作成を行うこととしていた。 しかしながら、令和3年度においても、新型コロナウィルスの感染拡大に歯止めが掛からず、前年度に増して深刻な状況となった。本研究の骨格を成す英文要約作成システム試行のアンケートの対象者は、医療に従事しながら学ぶ大学院生、また、看護系大学教員の若手研究者であり、新型コロナウィルス禍への対応に最も追われていた職種であった。このシステムの試行は十分な使用期間を必要とするため、時間的制約を前提としており、試行、及びアンケートの依頼は控えなければならない状況であった。本研究は、コロナ禍による影響を受ける性質の研究ゆえに、その遅延により、昨年度の進捗状況から大きく進展したとは言えない状況にならざるを得なかった。令和3年度は、下記の項目に専念することとし、一定の成果を見た。システムの形式、試行、アンケート調査項目や必要文書の確認、再検討、改善準備、システム公開形式の見直し、及び、システム内の英文要約作成部門の収録例文、並びに英文法部門の拡充等である。特に、システム内の英文要約作成部門の収録例文、並びに英文法部門の拡充については時間を割き、進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス禍の影響を受け、計画を変更せざるを得なかった。変更の理由は下記のとおりである。1) 調査は単に、アンケートに応えるだけでなく、一定の期間、システムを利用し、動作確認や内容の確認を伴うもので、一定の期間、対象者の拘束時間を要する調査参加となる。2) 対象者である、看護系大学院生、若手研究者らは、ほとんどが医療職、または教育職に従事しており、コロナ禍の状況下では、協力依頼を自粛せざるを得なかった。3)研究代表者、研究分担者にあっても、大学で教鞭を取っているため、全面オンラインや半対面授業など、コロナ禍に対応するために目まぐるしく変化する新規授業形式への対応に想定外の時間を割くこととなった。4) 業者との密な協議や学会活動が十分行えない状況であった。 従って、実行不可能な計画は次年度以降に持ち越し、可能な範囲の内容を実施することとした。システムの試行、及びアンケート調査の内容や必要文書の確認、再検討を行い、システム内の英文要約作成部門の収録例文、並びに英文法部門の拡充を行った。先行研究において制作したシステムでは基礎文法に特化したものとしたが、使用者が英文要約を自立して作成できる能力を培うことを目標に、追加項目を検討して、英文要約作成部門、並びに英文法部門を再構築し、教育的側面の充実を図ることとした。 本研究の先行研究の採択期間には、毎年、国際学会で逐次、本プロジェクトの紹介、進捗状況、成果の公表を行うことができたが、残念なことに、コロナ禍における旅行の制限、研究自体の遅延など、諸条件が重なり、オンラインでの参加に留まった。今後、学会活動が正常化した際に公表できるよう、システムの試行、アンケート調査の検討、英文法部門の構築に関するデータ等を整理して、準備している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、状況の好転に伴い、研究開始当初の計画に近づけるよう、研究の遂行に努める所存である。新型コロナウィルス禍の状況、並びにアンケート対象者のその対応状況、医療職種の平常化への進捗状況など、十分に検討し、負担の程度に配慮しつつ、状況が許せば、昨年度までに実行に至らなかった計画から順次実行する方針である。 英文要約作成システム使用方法の検討と改善、実効性の確認を目標に、1)試行内容、アンケート調査内容の確定、2)第1回試行(1ヶ月に3回以上の使用を予定)、3)アンケートの実施(対象:院生、助教等看護系若手研究者)、 4)アンケート結果の検討、5)改善内容の策定、6)制作業者への改善版作成依頼、協議、7)改善版の完成、8)中間報告 (第1回試行結果、改善策について公表)に向け、研究分担者と各項目において協議しつつ研究を推進していく。 さらに、上記計画が実行できた際は、さらにプロジェクトを進展させ、第1回試行と改善に基づく第2回試行(実際の使用形態に近付けた形式)と改善、システム実効性の確認、最終版の制作、公開、公開後の調査、検証に向け、次の研究段階へ進めることを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の根幹は、看護系若手研究者のための英文要約作成システムの構築であり、目的達成のための主要プロセスに、医療職者、及び教育研究者を対象とした試行、およびその後のアンケート調査が含まれている。プロジェクトの参加予定者は新型コロナウィルス禍において多忙でストレスの多い職種であることから、参加依頼を自粛し、前年度までに予定していたシステムの試行、その後のアンケート調査の実施計画を持ち越さざるを得なかった。状況が改善した折には、システム試行、アンケート調査、結果検討、システムの検証と改善、修正版の構築に助成金を使用し、公開に向けた計画をできる限り進める意向である。学会活動も制限せざるを得なかったが、正常化すれば、成果公表を行う予定である。
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