研究実績の概要 |
本研究は看護師の自律的学習意欲として「自己教育性」に着目し,その構成概念を明確化し,看護師の自己教育性測定尺度の開発を目的としている. 前年度は看護師の自己教育性尺度の開発い,自ら学ぶ力・省察する力・看護への興味と仕事の充実感の3因子27項目からなる尺度を作成した. 今年度は尺度開発と同データを用いて確証的因子分析を行った.確証的因子分析による適合度はGFI=.834,AGFI=.802,CFI=.912,RMSEA=.068であり,GFIとAGFIは.90未満,RAMSEAはわずかに基準を上回ったが,パス係数の推定値は高い値を示し有意であったことから,因子構造は一定の妥当性が示された.また,急性期病院1施設の看護師100名を対象に3週間の間隔を空けて2回の調査を実施しテスト・再テスト法による尺度の安定性を確認した.級内相関係数は.714から.865であり(n=36,p <.001),安定性が確認された. 2次調査として全国の300床以上を有する急性期病院82施設に勤務する5,636名の看護師を対象に開発した尺度を用いて無記名自記式質問紙調査を行い,尺度の得点分布の可視化と看護師の自己教育性に関連する要因について無記名自記式質問紙調査を実施した.結果,1,510 名から回答があり(回収率 26.7%),有効回答は 1,446 名(有効回答率 25.7%)であった.看護師の自己教育性尺度の総得点(平均±標準偏差)は105.1±17.6点であり,下位尺度得点別では《自ら学ぶ力》43.7±9.7,《省察する力》42.9±5.7,《看護への興味と仕事の充実感》18.5±4.7であった.看護師の自己教育性尺度の総得点および下位尺度の得点には, 看護師経験年数,支えてくれる家族の存在,介護経験,職場の内省支援・精神支援,役割付与・役割認識,職場の学習環境が関連していた(p<0.05).
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