研究課題/領域番号 |
20K10586
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
伊藤 道子 北里大学, 看護学部, 准教授 (30261671)
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研究分担者 |
林 俊治 北里大学, 医学部, 教授 (40260765)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 看護職者 / 感染看護 / 医療関連感染 / 細菌汚染 / 感染管理 / 医療で使用される物品の汚染 |
研究実績の概要 |
医療施設において看護職者が管理・使用する物品を介して細菌が伝播される危険性について検討し、その伝播を防ぐための方法を考案することが本研究の目的である。そのために、医療施設において看護職者が管理・使用する物品の管理状況および細菌汚染の状況を調査実施した。 具体的には、以下の物品を本研究の調査対象としている。①医療用テープ、②駆血帯、③速乾性擦式手指消毒薬を入れる携帯用ポーチ、④据え置き型全自動血圧計のマンシェット、⑤ネームプレートおよびそのケース、⑥PHSおよびそのストラップ。いずれも医療施設で汎用されている物品であるが、それらの清潔を維持するための明確なガイドラインやマニュアルがない。 以上の物品のうち、医療用テープ、駆血帯および速乾性擦式手指消毒薬を入れる携帯用ポーチ(以下、ポーチ)の調査は終了している。医療用テープは高頻度に細菌に汚染されており、テープを介した細菌の伝播が起こりうることが明らかになった。汚染菌種は主にヒトの皮膚の常在菌および環境汚染菌であった。テープは使用時間が長くなるにつれ、汚染が進む傾向があり、テープの携行の仕方も汚染と密接な関連があった。駆血帯も細菌に汚染されることがあり、汚染駆血帯の使用によって細菌の伝播が起こりうることが判明した。しかし、駆血帯を洗浄・消毒することによってそれを抑えることが可能であった。また、ポーチにも細菌汚染がみられていた。そして、「定期的に洗浄すること」が細菌汚染を防ぐことが明らかになった。 以上の結果をマニュアルとしてまとめ、それを医療現場に還元することで、これらの物品を介した細菌の伝播を防ぐことを本研究は目指している。据え置き型全自動血圧計のマンシェット、ネームプレートおよびそのケース、PHSおよびそのストラップについては、調査開始に向けて準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
医療施設において看護職者が管理・使用する物品を介して細菌が伝播されるのを防ぐための方法を考案することが本研究の最終目標である。そのために、これらの物品の管理状況と細菌汚染を調査し、両者を比較分析する必要がある。具体的には、以下の物品を調査対象としている。①医療用テープ、②駆血帯、③速乾性擦式手指消毒薬を入れる携帯用ポーチ、④据え置き型全自動血圧計のマンシェット、⑤ネームプレートおよびそのケース、⑥PHSおよびそのストラップ。これらの調査対象別に現在までの進捗状況を以下に記載する。 医療用テープの調査:医療用テープの調査は終了しており、その成果も国内外の学会で発表済みである。さらに、この成果をまとめた論文を執筆中である。また、この成果を基に、テープを介した細菌の伝播を防ぐためのマニュアルを作成する必要があり、現在、執筆中である。 駆血帯の調査:駆血帯についての調査も終了している。その結果、消毒を怠った駆血帯を用いると、細菌の伝播が起きることが明らかになった。この調査結果は既に国内外の学会で発表している。さらに、この結果に基づき、駆血帯を介した細菌の伝播を防ぐためのマニュアルの作成に着手している。 速乾性擦式手指消毒薬を入れる携帯用ポーチの調査:調査対象となる携帯用ポーチの調査も終了した。その結果、多くのポーチに細菌汚染が認められ、ポーチに手指が接触することで細菌の伝播が起きることが明らかになった。その成果は国内の学会で発表済みである。また、2023年度の国際学会で発表するための抄録提出ができた。 自動血圧計のマンシェット・ネームプレートおよびそのケース/PHSおよびそのストラップの調査:計画したが、 研究倫理申請に至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
研究の調査対象は以下の物品である。①医療用テープ、②駆血帯、③速乾性擦式手指消毒薬を入れる携帯用ポーチ、④据え置き型全自動血圧計のマンシェット、⑤ネームプレートおよびそのケース、⑥PHSおよびそのストラップ。これらの調査対象別に今後の研究の推進方策を以下に記載する。 医療用テープの調査:医療用テープの調査は終了しており、その成果も国内外の学会で発表済みである。さらに、この成果をまとめた論文を執筆中である。また、この成果を基に、テープを介した細菌の伝播を防ぐためのマニュアルを作成する必要があり、現在、執筆中である。 駆血帯の調査:駆血帯の調査は終了しており、その成果も国内外の学会で発表済みである。さらに、この成果をまとめた論文を執筆中である。また、この成果を基に、駆血帯を介した細菌の伝播を防ぐためのマニュアルを作成する必要があり、現在、執筆中である。 消毒薬を入れる携帯用ポーチの調査:同ポーチの調査は終了しており、その成果も国内の学会で発表済みである。さらに、2023年7月に国際学会で発表できることになった。それらに加え、この成果をまとめた論文を執筆中である。また、この成果を基に、ポーチを介した細菌の伝播を防ぐためのマニュアルを作成する必要があり、現在、執筆中である。 自動血圧計のマンシェットの調査:本研究の協力施設は既に複数確保済みである。調査を開始するにあたって倫理審査を受ける必要があり、そのための準備を現在進めている。ネームプレートおよびそのケース/PHSおよびそのストラップの調査:本研究の協力施設は既に複数確保済みであるが、その数は十分ではない。したがって、協力施設の応募を現在も継続している。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の流行のため、国内学会は一つを除き現地参加せず、オンラインで参加した。唯一旅費を計上できた現地参加の学会は、同県内で開催された。そこで旅費は1500円以内と少額となった。このために旅費がほとんど計上できず、残額が生じた。 さらに、対面授業からオンライン授業への変更が求められた。この変更は、準備(非常勤講師への依頼含む)と実施・運営により時間を要した。その結果、研究時間の確保が難しくなった。そのため、一年間の研究期間の延長を依頼した。同期間内において、国際学会の発表が予定されている。そこで、学会参加費と旅費を中心に、使用を予定している。
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