研究課題/領域番号 |
20K10593
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
池西 悦子 大阪医科大学, 看護学部, 教授 (90280106)
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研究分担者 |
飛田 伊都子 滋慶医療科学大学院大学, 医療管理学研究科, 教授 (30362875)
空間 美智子 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 准教授 (00623406)
奥津 文子 関西看護医療大学, 看護学部, 教授 (10314270)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 臨床看護師 / リフレクション / ファシリテーション / 教育プログラム / 行動分析 / 成功循環モデル |
研究実績の概要 |
リフレクションは、看護専門職が実践経験から新しい知識や概念の発見につなげ、学びを深める方法として有効性が認知されている一方で、失敗経験をリフレクションする場合には自尊心を傷つけるリスクがある。このことから、本研究では、有効なリフレクションを導くファシリテーターの育成プログラムを開発し、その有用性を検証することを目的とする。 初年度である2020年度は、リフレクションを支援するファシリテーションのモデル化を行うために、①リフレクション研修参加者を対象に、学習者役割を担う経験2年目看護師5名とファシリテーター役割を担う5~10年目看護師5名を募集し、②学習者とファシリテーターがペアとなり、学習者の経験事例のリフレクションをファシリテーターが促進する場面の動画を撮影し、③リフレクティブな思考が促進されたり、気づきが得られたフィードバックについて、関係、思考、行動に焦点を当て、分析を行う計画であった。 2020年度の実績としては、1ペアについてデータ収集と分析を実施し、以下について明らかにした。学習者・ファシリテーター相互の関係では、「学習者のファシリテーターへの信頼」と「ファシリテーターの学習者の思考への関心」が抽出された。思考では、「発問による先輩と学習者自身の実践内容の差の認識」が学習者の気づきを促し、「問題状況の批判的分析の不十分さ」が課題として抽出された。また、対話の促進要因として、リフレクティブサイクルに沿った「定型の発問」、「実践成果に関連する事実を問う発問」、「理解を示す発語によるフィードバック」が抽出された。行動では、「視線の頻度・タイミング」「ファシリテーターの身体動作」が行動指標となる可能性が示唆された。 残り4ペアについては、COVID-19感染者拡大によりデータ収集が困難となったため、研究計画を修正し、2021年度に実施することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19感染者拡大により予定されていたリフレクション研修が中止となり、リフレクションの教育を受けた研究対象者の募集が実施できなかったこと、研究対象者として協力が得られた施設にクラスターが発生し、研究協力が得られなくなったこと、学習者とファシリテーターがペアで実施するリフレクション場面のデータ収集が感染防止の観点から困難となったという3つの理由による。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、2020年度実施できなかった4ペアのデータ収集・分析を実施し、その結果に基づいて、学習者とファシリテーターの関係性、思考、行動の3側面から、有効なファシリテーションのモデルを明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、COVID-19感染者拡大により予定されていたリフレクション研修が中止となり、リフレクションの教育を受けた研究対象者の募集が実施できなかったこと、研究対象者として協力が得られた施設でクラスターが発生し、研究協力が得られなくなったこと、学習者とファシリテーターがペアで実施するリフレクション場面のデータ収集が感染防止の観点から困難となったという3つの理由により、1ペアしかデータ収集・分析が実施できず、次年度使用額が生じた。そのため、2021年度も継続して4ペアのデータ収集・分析を実施する予定であり、それらにかかる費用に研究費を使用する予定である。
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